【番外／短編】武器職人は牙を研ぐ【イリーガル・レア】

（後編） ページ18

「それを言うならお前もだろう」

『そうかな？』

お前とてアクセルが。
口には出さない。
Aが肩を揺らして笑う。

『私はもういいんだよ』

その後に続く言葉を俺は知っている。
俺だけが知っている。

『アクセルが幸せになるのを見届けたら、笑って消えるだけだよ』

隙間から漏れる光に目を細め、いつもと同じ調子でAは言い放つ。
ああ、――…そうだ。

先ほど感じた征服感が、途端に虚しいものとなって霧散する。
いや、充足を得たと思うこと自体、まやかしに過ぎない。
理解していたはずだというのに。

知らず、言葉が口をついて出る。

「その時は」

『うん？』

「俺がAの首をかっ斬ろう」

『珍しく言及したと思ったらそれって。穏やかじゃないなぁ』

そう言いながら、Aはゆるゆると嬉しそうに笑って。
首元にも散る赤に気付き、指を伸ばす。斬撃を予感させるように一筋撫でると、くすぐったいのか身をよじってAが転がる。

――もう何も望むまい。
代わりに、お前の最期だけは。
俺の手の中にあればいい。


―――――
やっと11連勤終わって久々にお酒飲んだテンションの産物ｗ
オペラを幸せにし隊(真顔)
2014.09.10.(3時半頃)

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