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【オペラ】薔薇の埋葬(前編)【単発夢主】 ページ17

※いつもとテンション違う感じです。


『……眩しい』

遮光カーテンを細く開けて外を見ていた俺の背に、掠れた声がかけられる。
振り向くと、タオルケットを羽織ったAが唸りながら目を開けたところで。

「起きたか」

『ん…』

もぞりと身を起こし、Aがベッドの上を這い寄ってくる。
引っ掛けただけのタオルケットは既に置き去りにされていた。

光を遮断して闇に沈む部屋の中、Aの素肌がほのかに浮かび上がって見える。
白い肩口に鬱血の赤。そうか、昨夜はあそこにもつけたんだったか。
鮮やかに濃いその痕に、言い知れぬ征服感の名残が蘇りかけ…目を逸らした。

『何見てんの?』

「光を」

『えー、オペラってそんなキャラだったっけ』

おかしそうに含み笑いをしたAが、俺の横から首を伸ばし、カーテンの隙間を覗き込む。
遮光のお蔭で部屋は暗いが、現時点は既に朝と呼べる時間だ。
この部屋からははるか階下の中庭がよく見渡せた。

俺の視線を辿って薔薇園へ目を止めたらしい。Aが短く嘆息。

『ベーゼと、…アクセルか』

「ああ」

『オペラって自虐趣味でもあるの?』

「どうだかな…」

朝咲きの薔薇を見に来たのだろう、ベーゼとアクセルが二人、並んで薔薇園を散策している。
思わないところがない、とは言わないが。
おそらくAが思うほど心揺れてもいない。

昨夜の名残の心地いい倦怠感。
隣に寝そべるAの、薄い肩が呼吸で上下する様がわかる距離。
それらがもたらすところが大きいのだが――Aは知らないだろう。
知るべきでもないな、と胸中で切り捨てる。

(後編)→←(後編)



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満月もなか(プロフ) - ミドリさん» こんな兄貴が欲しい(*´∀`*)原作での再登場が待ち遠しいですw (2014年4月6日 5時) (レス) id: 4ee75b096c (このIDを非表示/違反報告)
ミドリ(プロフ) - 満月もなかさん» フー!!( ☆∀☆)かっきょいいゼ兄貴 (2014年4月5日 10時) (レス) id: bbb6656106 (このIDを非表示/違反報告)
満月もなか(プロフ) - ミドリさん» 兄貴は絶対悪いこと本気で止めてくれるタイプですよね…!きゃー兄貴かっこいい!!(*´∀`*) (2014年4月5日 7時) (レス) id: 4ee75b096c (このIDを非表示/違反報告)
ミドリ(プロフ) - 満月もなかさん» いえいえ!兄貴がやさしぃよ!!(*´∀`)きゃー!!かっきょいい!!( ☆∀☆) (2014年4月3日 21時) (レス) id: bbb6656106 (このIDを非表示/違反報告)
満月もなか(プロフ) - ミドリさん» そうなんですよミラの夢書きたくて!一般市民な男夢主だったんですけど名前変換を入れる場所がなかったw ふおぉ嬉しいお言葉ありがとうございます!(*´∀`) (2014年4月3日 4時) (携帯から) (レス) id: 86c3fb12ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:満月もなか | 作成日時:2014年4月1日 13時

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