broken emotion VI

253《Yamada》 ページ6

風呂から上がってリビングに行くと、知念がいた


知「涼介はいつ頃出てきそう？」

山「俺がなんか？」

知「あ、涼介。ちょっと話があって来たんたけど」

山「…ん。俺の部屋か知念の部屋で話すか」

知「じゃー、僕の部屋に連れてって」

山「…わかった」


話す内容はだいたいわかってる

俺は知念を抱えて自分の部屋に向かった


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山「で、話って？」

知「わかってんでしょ？」

山「…殺すのか？」

知「当たり前。もう許せないよ」


いま知念が言っている事は、知念にとって1番憎いやつの事

そいつに復讐するために、俺らの仲間になったんだ


山「…殺したあとはどうする」

知「え？どういうこと？」

山「アイツを殺したら…両親と一緒に過ごすか？」


知念は目を丸くした


山「だってお前は復讐するために殺し屋になったんだろ？それが果たされたら…」

知「何言ってんの？」


俺の言葉を遮って、知念は言った

知念の目は真っ直ぐ俺を見ている


知「僕はこのまま一生みんなといるつもりだよ？たとえ復讐したとしても、皆が家族なんだから」

山「でも、両親と住むこともできるんだぞ？」

知「今更いいよ。僕はこの生活が1番好きだから」


“この生活が一番好き”

それを聞いて、それじゃダメなんだと言いたかった

だけど、それと同時にうれしいと思った自分もいて言葉に出来なかった

この生活は間違っていて

普通の生活をするべきなんだ

そう言いたい自分とそれを言えない自分

そんな自分が嫌になってくる


知「涼介は普通の生活をするべきだ。それが一番幸せな道なんだって思ってるでしよ？」

山「…実際そうだろ」

知「わかってないな〜」

山「なにが」

知「幸せかどうかは、自分で決める。僕は今が幸せ。なんか文句ある？」

山「…わかんねえよ」

知「涼介だってたのしいでしょ？この生活」

山「まあ…」

知「僕達は普通じゃないんだから。だから、普通の生活をしなくても幸せになれるんだよ」

山「…わっかんね」

知「それは涼介がバカだから」


こうやって最後に毒を吐く知念

でもそれを不快には思わない

こういう事なのかな？

…やっぱ俺にはわかんね


知「てかさ、僕の話したいんだけど」

山「あ、わり」


そう言えば知念の本題を聞いてない

俺はベットに座る知念に向かい合うようにして椅子に腰掛けた


知「僕1人で殺しに行く」

山「…は？」

知「だから作戦だけ考えて欲しい。大丈夫、僕が失敗する訳ないでしょ？」

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