broken emotion VI

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伊「よし、皆揃ったから行こ！」

八「お、行ってら〜」


あの後準備を急いで終わらせて玄関に向かった

ジーパンに大きめの白の半そでTシャツ、ボーダーのパーカーを羽織った


伊「じゃ、山田運転よろしく」

山「俺なのかよ」

伊「俺やだもん」

山「肩怪我してる奴に普通運転させるかね？」

「事故起こしたら慧くんのせいだね」

伊「…俺やるよ」


事故を恐れた慧くんは仕方なさそうに車の鍵を手にして運転席に座った


伊「…て、なんで皆で後ろなわけ？」

山「別にいーだろ」

「寂しい？」

伊「…別に」


少し慧くんがかわいそうだったけど、私は助手席に行かなかった

大ちゃんの隣にいたかったから

ずっと喋らない大ちゃんに寄り添ってたかったから


伊「シートベルトしてね」

山「おい、安全運転しろよ」

伊「俺の気分次第」

山「おい」

伊「うるさいな、行くよ」


よっぽど寂しかったらしい

慧くんの運転はすっごい荒かった


・









・









・


山「気持ちわるい…」

伊「こんなんで？」


涼介は軽く慧くんを睨んでるけど、慧くんは気付かないふりをして薬局に入っていった

薬等は慧くんが1人で買いに行くらしい

残った私たち3人は車の中

…一体何をしに来たんだって感じだけど


山「…俺、ちょっと買い物してくる」

「え？あ、うん｣

山「ん」

「え？」

山「これで2人もなんか買ってきな」


差し出されたのは福沢諭吉さんが載ってるお札


「いいの…？」

山「気分転換にさ。今度海行くんだから、その時用の服とかでも買ってきな」


そう言ってそのまま車を降りてどこかへ行った涼介

渡された1万円をポッケに入れて、大ちゃんに笑いかける


「行こ！」

有「…俺、待ってる」

「そんな事言わないでさ、ね？」

有「…うん、｣


なんとか大ちゃんを連れ出してお店へ向かう


「何買おっか？」

有「Aちゃんが行きたいところ…でいいよ」

「私？」


どこに行きたいか

思えば、買い物に来るのは何年ぶりだろうか

お父さんがいた時だったはず

でも、そんな時の記憶なんてないや


「私、買い物した記憶ないや」

有「…え？」

「友達もいなかったし、お母さんは遊びに行かせてもらえなかったからさ」

有「そ…っか…」

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