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慧くんは話さなかった
仕方なく折れた私は自分の部屋で本を読んでいた
_____トントン
「どうぞ?」
中「すいません…」
読んでいたページに栞を挟んで本棚に戻した
「中島さん?」
中「時間大丈夫ですか?」
ベッドに二人で並んで腰掛けた
今日はもうやることなどない
「どうしたんですか?」
中「えっと…」
中島さんの顔を覗くと、不安な気持ちが読み取れた
不安・恐怖
今の中島さんはこの2つに押しつぶされそうだ
中「…俺、怖いんです」
「怖い…?」
中「何の恐怖かはわからないけど…なんか…」
中島さんはどんどん気持ちを打ち明けてくれた
中「さっき、ご飯食べてる時…楽しかったんです。楽しかったんですけど…」
「けど?」
中「なんか素直に笑えなくて」
「そっか…」
中「笑おうとすると、俺は笑っていいのか?母さんや弟は辛い目に遭ってるのに俺だけ幸せになっていいのか?って思っちゃうんです…」
手を強く握りしめる中島さん
「私は…中島さんは幸せてあるべきだと思うな」
中「でも…」
「もちろん、1人だけ幸せになるのは辛いかもしれない。だけど、まずあなたから幸せにならなきゃ弟さんやお母さんは幸せになれないんじゃないかな?」
中「俺…が…?」
「人ってね、大切な人が幸せだと自分も自然と幸せになっちゃったりするんだよ?
私は大ちゃんとか慧くんが楽しそうだったら嬉しいし、幸せそうだったら私も幸せ。
逆に悲しそうだったりすると私も不安になる」
そう…
だから今は少し不安な気持ちなんだ…
「幸せにしたいって思えるから人はそのために生きていこうって思えるんだよ。
生きることに苦はあるけど、その分幸せだってある。
中島さんは大きな苦を経験したんだから。
次は幸せになる番だよ?」
私が笑いかけると中島さんの顔が少し明るくなった
「だから笑お?」
中「うん…ありがとう」
「いいえ」
中「あの…さ…」
「ん?」
中「タメ語で話してもいいですか?」
「もちろん。私の方が年下だし…」
中「え、いくつなの?」
「16だけど…」
中「え、タメじゃん」
「え!?」
身長高いし大人っぽかったから歳上だと思ってた…
中「じゃあお互いタメで話そう?あと…苗字じゃなくて名前で呼んで欲しいな…」
「裕…翔くん?」
中「裕翔でいいよ」
「わかった、」
中「ありがとうAちゃん」
おやすみと言って部屋を出ていった裕翔は、少しスッキリしていたように感じた
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作者名:Alice | 作成日時:2018年12月14日 18時