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部屋から出てきた涼介には血が着いていた
「…」
山「行くか」
でかい屋敷を後にし、奏くん達の所へ向かった
車の中で涼介が口をひらいた
山「怖かったか?」
「…何が?」
山「俺が」
「全然」
山「…そっか」
最初は本当は怖かった
だけど、もう怖くなかった
山「…Aも人間らしくなってきたな」
「そお?」
山「奏くんのことがそんなに好きなのか?」
「…好きっていうか…私と同じ人生を歩んで欲しくない」
山「Aらしいな」
「え?」
山「なんでも」
着くと、奏くんが走って出迎えてくれた
奏「どう…だった?」
「…お母さんに会えるよ」
奏「ほんとに…?」
「うん」
奏「ありがとう!お姉ちゃん!」
笑顔を見せてくれた奏くん
この先、この笑顔が消えないように
もっともっと笑顔でいられるように
奏くんには幸せになってほしい
伊野尾さんを怖がってた奏くんだけど、
いつの間にか仲良くなっていて
もしかしたら奏くんは強いと言うよりも
まだ子供すぎただけなのかもしれない
だけど、私は奏くんは強いと思う
虐待をするお父さんに手紙を書いて授業参観に来て欲しいって言ったり
誕生日に手紙を書いたり
そんなこと、私はできない
帰る時に寄った物置部屋の片隅に奏くんが書いた手紙が沢山箱に入っていた
多分あの人が捨てたのを使用人の人達が取っておいたのだろう
私はその手紙をいくつか読んだ
読み切れなかった分は箱ごと持って帰ってきた
翌日の朝、ニュースとなって報道されていた
奏くんはそれを真顔で見つめていた
どんな気持ちだったのだろう
少なくとも、嬉しい気持ちより悲しい気持ちの方が大きかったはず
涙を流さないように必死に堪えていた奏くんを見て胸が締め付けられた
こんな良い子なのに
もうこんな思いをする子をこれ以上見たくない
私みたいな人生をおくる子なんていなくていいんだ
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作者名:Alice | 作成日時:2018年6月29日 22時