chapter.7 キネンビ ページ9
朝がやってきた。起き上がってみると、やはり今日もガラスはヒビひとつない綺麗で無機質に鎮座している。触れてみると、指先からひんやりとした感覚が脳を刺激する。ガラスにもたれかかると、目の下に黒い隈を作った自分がいた。
rd「おはよ〜」
ドンとドアを開けて現れたなは、言わずともがならっだぁ。でも、今日はいつもより少し元気そうに見えた。
rd「だから無言で布団被らないで!?」
『…今日らっだぁ、テンション高い』
rd「あ、気づいた〜今日はね、特別なもの持ってきた」
じゃ〜ん!という効果音とともに大きな白い物体を取り出した。なんだかよく分からずこてんと首をかしげる。
rd「今日ね、俺の誕生日なんだ〜」
『…誕生日?』
少し本で読んだことがある。確か自分の生まれた日がどうとか。
rd「だから祝って〜」
『図々しい』
rd「ひど!?」
その時、ピッピッと音がしてガチャンと自室の重い鉄製のドアが開いたかと思うと、中に入ってきたらっだぁがどかりと白い物体を持って私の隣に座った。
『…え』
rd「さ、一緒に食べよ。ケーキ」
『…怒られない?』
rd「あ〜…まぁ、なんとかなる!」
ガハ、と軽く笑い飛ばすらっだぁ。いいのかそれで。
白い物体…けぇきと呼ばれたものをナイフで切ると、中から黄色のふわふわと白いベタベタと赤いつぶつぶが現れた。それをそっと口に運ぶ。
『…!ふわふわする。甘い』
rd「おいしい?」
こくこくと頷くと、らっだぁは幸せそうに笑った。
rd「Aの誕生日はいつ?」
『ん?わかんない』
もぐもぐとひたすらけぇきを口に運ぶ中、らっだぁは何やらぶつぶつと独り言を言っている。
rd「じゃあAの誕生日は今日!俺と一緒ね。それでいい?」
誕生日なんてそう簡単に決めていいのかなと疑問に思いながらもこくんと頷いた。確かに、私にはぴったりの誕生日かもしれない。
rd「じゃあ、ちゃんと言わなきゃね。
…お誕生日おめでとう、A」
『…おめでと、らっだぁ』
白いみるくが入れられたガラスのコップをカンと鳴らす。普段と居る場所は何も変わっちゃいないのに、何故か此処がすごく特別な空間のように思えた。
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人間 - 好きです()神 (3月26日 22時) (レス) @page45 id: 89c49f19f9 (このIDを非表示/違反報告)
ちょい。〜最近kpopはまり中〜 - 更新ありがとうございます、、!(泣) (1月14日 12時) (レス) @page37 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
ちょい。〜最近kpopはまり中〜 - やっぱり好きです!他の作品も神だし、、!夢主のキャラ被りがなくて尊敬します!更新無理ない程度に頑張ってください。1カ月でも1年でもずっと待ってます! (1月10日 10時) (レス) id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
桜音羽 - 何これ、神作じゃないですか!? いのりさんは神様です! 国宝になるべき!! (8月5日 23時) (レス) @page31 id: 9667935504 (このIDを非表示/違反報告)
みなもち(プロフ) - 久しぶりの投稿ありがとうございます!!!いつも1話なのに今回は4話も…!本当にいのり様の作品大好きなので投稿されると本当に嬉しいです✨今回のお話も少し胸に来るものがありました!素敵な作品ありがとうございます😊 (6月25日 0時) (レス) @page31 id: 422edee945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎いのり | 作成日時:2022年4月4日 9時