chapter.33 宣言 ページ35
『フィナがいなくても、大丈夫。心配しないで』
ずっと今まで、自分は弱くなったと思っていた。昔は何を言われても何をされても何も感じなかったのに、今では些細な事で傷ついたり悲しくなったりする。“感情”というものを持ったのが悪い、“感情”が私を弱くさせた、そう思っていた。
でも、違ったんだ。“感情”を得ることで、生きていれば幸せに感じることだってあるって分かった。大切にしてくれる存在にだって気付けた。違ったんだ。“感情”が私を強くしたんだ。
今、胸の辺りがぽかぽかと温かい。以前にはなかった、新しい感覚。
『らっだぁ、ありがとう』
“感情”をくれた貴方に、貴方に貰った“感情”を使って、彼に優しく微笑んでみせた。上手く笑えてるかも分からないけど、どことなく間違ってはいない気がした。
はぁ、とため息が聴こえた。何か間違ったことをした…？と急に不安感に襲われる。でも、返ってきたのは予想外の返答で。
rd「……それは、ずるいって」
表情を隠すようにして顔を手で押さえる彼の頬は、僅かに赤い。照れてる……のかな。
rd「俺こそありがとう、A。……ってこれマジではっず」
らっだぁも同じように返してくれたけど、本気で照れくさそうだった。そんな反応をされると、こっちまでむず痒い気持ちになる。自分にまで頬の熱が映った気がして、顔を隠すようにして顔を逸らした。
rd「てか、Aの貴重なデレ………」
『きっ、貴重って何』
めずらし、とか呟きながら私の顔をまじまじと見るらっだぁに、不満の気持ちを込めてぷうっと頬を膨らませた。
rd「かわい、」
それはとろり、とろけるような優しい声で、心臓が大きく跳ねた。蜂蜜のように甘くてとろりとする、そんな彼の瞳は、私は知らない。触れてもいないのに抱きしめられているようなそんな優しい眼差しが、僅かに私の体温を上げた。
『も、もう帰って……！』
rd「え〜？やだ」
『帰って！』
rd「やーだ」
なんて同じ会話ばかりを繰り返し、気がつけば長い時間が経っていた。おかしいな、こんなに時間って経つの早かったっけ？と一人で疑問に思った。
……そしてこの晩、私は一人ベッドの中で決意を固めた。フィナ、そしてらっだぁから言われたことを密かに思い出した。
“自分が正しいと思ったことをして”
これは、以前らっだぁが私に言ってくれたこと。これは正しい道なんだ、と何故かそう確信できた。
私は、この研究所から逃げる。
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人間 - 好きです()神 (3月26日 22時) (
レス) @page45 id: 89c49f19f9 (このIDを非表示/違反報告)
ちょい。〜最近kpopはまり中〜 - 更新ありがとうございます、、！(泣) (1月14日 12時) (レス) @page37 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
ちょい。〜最近kpopはまり中〜 - やっぱり好きです！他の作品も神だし、、！夢主のキャラ被りがなくて尊敬します！更新無理ない程度に頑張ってください。１カ月でも１年でもずっと待ってます！ (1月10日 10時) (レス) id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
桜音羽 - 何これ、神作じゃないですか！？ いのりさんは神様です！ 国宝になるべき！！ (8月5日 23時) (レス) @page31 id: 9667935504 (このIDを非表示/違反報告)
みなもち(プロフ) - 久しぶりの投稿ありがとうございます！！！いつも1話なのに今回は4話も…！本当にいのり様の作品大好きなので投稿されると本当に嬉しいです✨今回のお話も少し胸に来るものがありました！素敵な作品ありがとうございます😊 (6月25日 0時) (レス) @page31 id: 422edee945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎いのり | 作成日時：2022年4月4日 9時
