ガラス越しのあなたに触れるまで【^ら^】

chapter.2 スキナコト ページ4

rd「ねー暇だから話そー」


私は無言でルービックキューブを弄る。らっだぁはガラスの傍にあるパイプ椅子をぎいぎいと鳴らしていた。

…暇なのか研究員。


rd「Aの好きな食べ物は〜？」


食べ物…と言われていつも此処で出されている大量のサプリが頭に浮かんだ。


『……強いて言うなら、赤と黄色のカプセルのやつ』


rd「……あー……じゃあ好きな人とか」


『研究所の人は全員嫌い』


rd「…好きなアニメ」


『あにめ…？なにそれ』


rd「あ、今日俺ダメだ。ほんっとに今日ダメ…」


色々よく分からないことを質問すると急に頭を抱えはじめるらっだぁ。


rd「…っじゃあ〜好きなこと！」


『好きなこと…？』


ルービックキューブを動かす手を止める。軽く下を向いて考えてみた。


『…お絵描き』


rd「やっぱこれも答えられないよな…って、お絵描き？」


その問いに黙ってこくり、と頷く。その瞬間、らっだぁはニヤケに近いデレデレの笑顔を浮かべた。


rd「ふぅん…お絵描きかぁ〜そっかそっかぁ〜」


『…なんか気持ち悪い』


rd「急に辛辣！！」


話は終わったと思い再び視線をルービックキューブに向ける。


rd「てかさ、なんだかんだで無視しないで聞いてくれてるんだ？」


『…逆らったら怖いから』


服の袖口をぎゅっと掴む。らっだぁと話始めてから忘れかけていた痛みと記憶がじわじわと戻っていくような感覚がした。


研究員ってことはこの人も悪い人に決まってる。でも…何故か不思議と疑えはしなかった。


ふと目に入ってきたのはいつの間にかそろっていたルービックキューブ。その面は深い蒼だった。



『…なんかイライラするから出てってくれない？』


rd「やっぱ辛辣！！」

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