chapter.24 いらない ページ26
それから数日、らっだぁの甲斐甲斐しい看病のお陰で私の風邪は早くに回復し、体調は元通りになった。しかし、精神はその回復速度についてくる事はなかった。日を重ねるにつれ、私の心は罪悪感や迷いといったどうしょうもない感情に蝕まれていった。しかしその変化を彼に悟らせるわけにもいかず、まるで彼と出会う前までのように無表情を貫いた。しかし、それまでの私なら何も感じなかったはずなのに、何故か更に罪悪感が姿を大きくしていったのだ。
……ただ、怖かった。いつか、それに喰い尽されそうで。いつか、自分ごと飲み込まれてしまいそうで。
どうして、今更こんな感情を持ったんだ。今までの自分なら、たかが脱出する事にこんな感情を抱く事はない。いや、そもそも脱出なんてしようとは思わなかった。無感情のまま研究所に囚われ、そしていずれ無感情のまま死にゆくはずだった。
これは誰のせい？感情を持った自分のせい？
バリン…！と激しい音を立てて机に置かれたコップが割れた。……落としちゃったのかな。
だいぶ薬品の匂いが薄まった毛布に顔を埋めた。薬品の代わりに自分の匂いがよくする。
ふと部屋を眺めた。よく見てみればかなり殺風景な部屋だ。しかし、これでも前よりはマシになった感じがする。
まずはベッド。最初は真っ白だったけれど、らっだぁの影響で、布団だけが落ち着いた青色になった。
次に机。前は何も置かれていない事が多かったけど、今は画用紙の上にクレヨンや本やゲームが無造作に置かれていた。
最後に、引き出し。タンスと言っていいかもしれないけど。前は買った時のままの姿のようだったが、今はその上に青い生物のぬいぐるみが大量に置かれている。誰の影響かというと……言わなくても分かるだろう。
この研究所にいて10年以上経つが、ここ最近で目まぐるしく変わった気がする。いや、変わったのだ。らっだぁ、という一人の男を中心に。それは環境や見た目だけではない。おそらく私自身も……例外ではないのだろう。
でもやっぱり………
「A、行くよ」
『………うん』
私は軽くフィナに微笑みかけ、彼女の手を取る。
＿＿＿やっぱり、感情なんて要らなかった。
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人間 - 好きです()神 (3月26日 22時) (
レス) @page45 id: 89c49f19f9 (このIDを非表示/違反報告)
ちょい。〜最近kpopはまり中〜 - 更新ありがとうございます、、！(泣) (1月14日 12時) (レス) @page37 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
ちょい。〜最近kpopはまり中〜 - やっぱり好きです！他の作品も神だし、、！夢主のキャラ被りがなくて尊敬します！更新無理ない程度に頑張ってください。１カ月でも１年でもずっと待ってます！ (1月10日 10時) (レス) id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
桜音羽 - 何これ、神作じゃないですか！？ いのりさんは神様です！ 国宝になるべき！！ (8月5日 23時) (レス) @page31 id: 9667935504 (このIDを非表示/違反報告)
みなもち(プロフ) - 久しぶりの投稿ありがとうございます！！！いつも1話なのに今回は4話も…！本当にいのり様の作品大好きなので投稿されると本当に嬉しいです✨今回のお話も少し胸に来るものがありました！素敵な作品ありがとうございます😊 (6月25日 0時) (レス) @page31 id: 422edee945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎いのり | 作成日時：2022年4月4日 9時
