26匹目 ページ26
目を開くと、視界に広がったのは真っ白で何処か無機質な天井。自分の部屋じゃない、ここは…
妹「…ねぇちゃん?ねぇちゃんっ!良かった…もう目が覚めないのかと…」
目に沢山涙をためた妹が、私に飛び付くように抱き締めた。冷えきった体が温かい体温に包まれる。
泣きつく妹の頭を撫でながら辺りを見回してみると、ここは多分…いや絶対病室だ。
腕には点滴が刺さっているし、何より体が何処かおかしい。
『ねぇ、私はどうしてここに…』
妹「…覚えてないの?ねぇちゃんがいつも行ってた水族館で倒れて、かっこいいおにーさんが助けてくれたんだよ?」
かっこいいおにーさん…ってコンタミさんのことかな
そう思うと同時に、倒れた時の情景と激しい痛みがフラッシュバックして思わず噎せる。
…あんな痛み、感じたことがない。いったい私の体はどうなって…
「…あと半年もないでしょう」
医者の冷たい声が部屋に響く。
世界から音が消えた。光が消えた。色が消えた。
頭の中が真っ白になる。
何度もその言葉が毒素のように体中を駆け巡る。
母は床に崩れ落ちて、妹は叫ぶように泣きじゃくる。父は痛みを堪えるように唇を噛む。
それで私は、これが現実なんだと、私はもう半年しか生きられないのだと痛感させられた。
どうやら、過多なストレスが体の中の毒を作り上げたらしい。それを聞いて、家族はこれ以上ないほどに謝っていた。そんな言葉も私の耳には届かない。
涙は出てこなかった。鏡の前には、目が虚ろで亡霊のような少女が映っている。
そう…
どう足掻いても、私は半年後に死ぬ。
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badendingが好きすぎる人(プロフ) - ほんとに神作品やわ! 作ってくださりありがとうございます! (4月9日 23時) (レス) @page37 id: 72c8a53bfa (このIDを非表示/違反報告)
野いちご - ゑ、なんですかこの神作品は、、 おかげで目から噴水がでてくるんですけど!?いや本当にこんな神作をありがとうございます。(語彙力消失) (8月25日 21時) (レス) @page36 id: 5dce853f03 (このIDを非表示/違反報告)
Mentaiko - あー!!神作だぁああ!!助けてこのあと学校あるのに(結構すぐ)涙止まんないぃぃぃ!! (2022年10月13日 7時) (レス) @page36 id: 098621680f (このIDを非表示/違反報告)
青い紅茶(プロフ) - 甘酸っぺぇなぁ...(尊死) 「イカはいかが?」、ダジャレなのに筋通ってて個人的に超好きです...他作品の更新も頑張ってください、応援してまふ...() (2022年8月17日 14時) (レス) @page38 id: 7871dca46e (このIDを非表示/違反報告)
しろくろ - ちょっとその…あの…今一気読みしてきたんです…誰かこの涙拭いてください…ほんとに…殺しに来てますよね…???ほんとに神作をありがとうございます…今日から多分幸せに生きれます…(成仏) (2022年6月19日 18時) (レス) @page38 id: 60e18d1ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎いのり | 作成日時:2021年11月8日 20時