14匹目 ページ14
私は、コンタミさんと目線を合わせられていられなくなり、下を向く。
…もう言ってしまっていいのかな。
しかし、心配かけたくないという思いと交差し、言葉が上手く出てこなかった。
『…学校にある池に落ちたんです、ドジって』
cn「嘘だね」
『…どうしてそう言いきれるんですか』
cn「Aちゃんは、髪がびしょびしょだったけど、足元の方はたいして濡れてなかった。つまり、上の方から水をかけられたって考えたほうが妥当だね。それに…」
コンタミさんは言葉を切り、近くにあった私のカバンを持ち上げる。
cn「…もし、池から落ちたんだったら、これは何?」
私のカバンの中に入っていたのは、落書きをされてズタズタになった教科書やノートだった。容赦ない現実を突き付けられ、思わず目を逸らす。
cn「どちらにしろAちゃん、嫌がらせられてるんでしょ?」
『違います。これは単なる嫌がらせで…』
cn「…言わせてもらうけど、もうこれは犯罪の域だよ?」
…勿論自分でも分かっている。でも、そんな現実を受け入れたくなくて、逃げていた。そう、ただそれだけだった。
cn「…俺じゃ、頼りない?」
『いえ!…私は、ただ…』
cn「迷惑かけたくない?
…Aちゃん、全部自分でなんとかしようなんて思わないで。もう少し、周りの人を頼りなよ…」
コンタミさんは、私の手を包みこむように握り、私を真っ直ぐな瞳で見つめる。でもその表情は何処か悲しげだった。
『…私、先生に言ったけど、信じてもらえなくて…』
cn「…そっか、それは辛かったね。それで、諦めちゃってるんだね…
…じゃあ、Aちゃんはどうしたい?」
『…どうしたいって?』
cn「このままでいたい?それとも…」
『変わりたい…変わりたいです!』
cn「じゃあ、俺に言うことは?」
『変わりたい…けど、一人で出来る気がしないです。だから…
コンタミさん、助けてください。お願いします』
私は、ペコリと頭を下げる。
cn「ふふ、よくできました」
コンタミさんは、私の頭に手を伸ばしてそっと撫でる。温かくてふわふわした感覚にどっと安心感が押し寄せてきた。それと共に、じんわりと目頭が熱くなる。
cn「…もう、そんなに泣かなくていいのに」
次から次へと流れ落ちてくる涙を、コンタミさんが指で優しく拭ってくれる。
今まで冷たく感じていた涙は、とても温かかった。
145人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
badendingが好きすぎる人(プロフ) - ほんとに神作品やわ! 作ってくださりありがとうございます! (4月9日 23時) (レス) @page37 id: 72c8a53bfa (このIDを非表示/違反報告)
野いちご - ゑ、なんですかこの神作品は、、 おかげで目から噴水がでてくるんですけど!?いや本当にこんな神作をありがとうございます。(語彙力消失) (8月25日 21時) (レス) @page36 id: 5dce853f03 (このIDを非表示/違反報告)
Mentaiko - あー!!神作だぁああ!!助けてこのあと学校あるのに(結構すぐ)涙止まんないぃぃぃ!! (2022年10月13日 7時) (レス) @page36 id: 098621680f (このIDを非表示/違反報告)
青い紅茶(プロフ) - 甘酸っぺぇなぁ...(尊死) 「イカはいかが?」、ダジャレなのに筋通ってて個人的に超好きです...他作品の更新も頑張ってください、応援してまふ...() (2022年8月17日 14時) (レス) @page38 id: 7871dca46e (このIDを非表示/違反報告)
しろくろ - ちょっとその…あの…今一気読みしてきたんです…誰かこの涙拭いてください…ほんとに…殺しに来てますよね…???ほんとに神作をありがとうございます…今日から多分幸せに生きれます…(成仏) (2022年6月19日 18時) (レス) @page38 id: 60e18d1ca9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神崎いのり | 作成日時:2021年11月8日 20時