第２５６話 ページ26
…まさか、ここまでノーツ号の同伴者の事情があるとは思いもしなかった。
あのあと、水川みのり本体の魂が目覚めたことにより、ポトムリに続いてみのりの招待も明らかとなる。
このままでは、メンバーの中で"灰崎A"と"メルシー"の存在について疑問を持ってしまうのかもしれない。
バルガとの会話で名を出された"メルシー"という名を、どう隠蔽していくか。
それがいつか明らかにはされてしまうが、そのスパンが長ければ何だっていい。
(どうにかして、アイツを隠さないと。)
「灰崎さん」
『…あ？瞬木か。何か用なワケ？』
廊下を軽く見渡すも、そばには誰もいない。
仕方ないと思い、アタシは体を翻して奴と向かい合った。
「あの、さ。灰崎さんから見て俺ってどう思う？」
『いきなりなんの話かと思えば…。別に瞬木は瞬木。それ以外なんて言えばいいのカナ？』
「え…あ、いや。ううん、なんでもないよ。
ごめんね、手間取らせて『あっそ。サヨナラ、ウソツキさん』
は、灰崎さん？！」
…どっちが嘘つきなんだか。
そう小さく自虐するかのように嘲笑して、自分の部屋へ足を進めた。
廊下では誰ともすれ違ったりはしなかったことに安堵して、自室に足を踏み込んだ。
うつ伏せになるようにして、ベッドに身を投げた後、顔だけを横に向けて小さくため息を吐く。
『この後にワープ…。あぁ、めんどくせぇ』
体を回して今度は視界に照明が入るも、気にやしないでそのままぼぅっとしていたが。
突然のベル音で体を起こしたアタシは、慌てて呼び出し人を確認しに行く。
『…誰だ？』
「市川です。もうそろそろワープなのでお呼びにまいりました」
『あ、ありがとう』
何かある度に、普段は森村が来ていたから今回ばかりは少しだけ驚いた。
少し間を開けて開閉ボタンに触れて、廊下へゆったりと飛び出した。
その様子に、市川は小さく笑う。
「何もそこまで慌てなくても」
『…べつに、誰かを待たせるのが嫌いなだけだから』
「そうですか」
二人並んで、静かに先頭の方へ歩き出す。
何も、言葉を発さずに。
ただ、足音だけが廊下に響き渡っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジューガ(プロフ) - 尾崎紅葉さん» ついキャラがやり易くてつい…(笑)もしよろしければゆっくり作品読んでいってくださいね〜 (2018年10月8日 15時) (
レス) id: 9eafabe847 (このIDを非表示/違反報告)
尾崎紅葉 - ん？なんか青色の文字に覚えが……あッ！マギレコ！ (2018年10月8日 12時) (レス) id: f02ea9a8e7 (このIDを非表示/違反報告)
綾子 - ジューガさん» はい。 また、読みに来た時に私の作品で感想もお願いします。 (2018年10月6日 15時) (レス) id: b7d309d2d4 (このIDを非表示/違反報告)
ジューガ(プロフ) - 綾子さん» 実はもう訪問しちゃいました…(笑)面白い作品でした！！お互い更新頑張りましょ！！ (2018年10月6日 15時) (レス) id: 9eafabe847 (このIDを非表示/違反報告)
綾子 - 私の作品の題名を教えますか? あとからすみません。 (2018年10月6日 15時) (レス) id: b7d309d2d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジューガ | 作成日時：2018年9月27日 10時
