【イナギャラ】偽りメルシーpartⅢ (ページ9)

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第９８話ページ9

『これ以上はなにも言わねェよ。…帰れ』

そう言えば、目の前の奴は「失礼した」と言って、合宿場を離れていった。

(…破壊するのなら私だけでいい)

(つまらないことに誘わないでくれ)

(このチームの代わりなんて、無いんだからよォ)

＿＿＿ガタンッ

『…っ！！誰だ！』

背後から聞こえた、机にぶつかる音が耳に入り、私は勢いよく後ろへ振り返る。

そこには、唖然として立っているキャプテンがいた。

『どっから聞いてたんだよ』
「…A、チームから抜けるの？」

(…それって始めから、と認識するのがいいのか？)

私は小さくため息をつき、キャプテンの横をすり抜ける。

『＿＿アンタには関係ねェよ、別に。馬鹿馬鹿し』

"馬鹿馬鹿しい"。そう言おうとした瞬間、私は無理やりキャプテンと向き合うかたちになった。

…奴が、私の両肩をつかんで振り向かせたのだ。

「そんなこと言わないでくれッ！…一体。
＿＿ッ一体このチームに何が不満あるんだよ！！」
『おい、落ち着けよ…っ！』

キャプテンの顔をみた瞬間、私は目を見開いた。
そこには、ただ不安で満ちた灰色の瞳があり、またもや私はたじろいでしまった。

このまま突き飛ばすのはよろしくない。
かといって、この状況を続けるのも好ましくない。

どうしようかとまよっていると、突然エントランスの自動ドアが勢いよく開いた。

キャプテンにつられ、顔ををそちらの方へ向けば、頭に青筋をたてながら入ってくる真名部と、それをみてあためく皆帆の姿があった。

それを確認すれば、私はもう一度キャプテンの方へ視線を向けた。

『…ここから出ていくつもりはないから安心しとけ』

そう言いながら、肩に置かれた両手を払ってキャプテンに背を向けた。