【イナギャラ】偽りメルシーpartⅢ (ページ42)

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第１３０話ページ42

じっとAに見つめられたのに対し、
仰け反りそうになった自分の足をなんとかして踏みとどめる。

それが、今精一杯の俺なりの抵抗。

(なんだよ、こんな威圧…！)

だけど、そんな気も知らずにAは小さく舌打ちをした。

『あー…ハイハイ、またその質問？
ていうか今のテメェには関係ねーっつーの』

「＿＿＿っ！
まさか、君はAの記憶を…？」

俺が再び質問したのに対して灰崎は。
だが、それには答えを言おうとはしなかった。

＿＿＿＿否、出来なかったのだ。

俺の反対側から、みのりを率いて黒岩監督が現れたから。

「あ、あの…監督！」

「…何をしている。
早くブラックルームへ行かないか」

何か情報をもらえるかと思って訪ねた質問の答えが、
まさかの拒絶だなんて…！

「…着いてこい、灰崎。
お前にやってもらいたいことがある」

『おー！楽しそうです！
いやー、やりたいことがもう(・・)もうなくて困ってました』

豹変したはずのAをみても、監督はたじろいだりなんてしなかった。

Aの明るい声が聞こえたとき、
そのときにハッとして慌てて制止するように頼もうと口を開いた。

「…っ！待ってA！！
サッカーと向き合って！そうすれば君の本物が＿＿」

俺と瞬木に背を向けたAは、一度足を止め、俺たちの方へ振り返った。

(サッカーが好きなAなら。)

『しつこいし。
てゆーか、それ以上私に構わないで欲しいんですケド！！』

＿＿＿＿＿俺たちの方へ来てくれると思ったのに。