【イナギャラ】偽りメルシーpartⅢ (ページ36)

今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:19,581 hit

第１２４話ページ36

『…。』

予想もしなかった問いかけに、頭を掻く手を止めた。
顔を上げ、目を見開いて、それからただ沈黙だけを貫いた。

「もう一度ご確認します。
灰崎さんが星章学園を襲ったのは貴方なんですか？」

『…アンタには関係ない。それが答えだけど？』

そう答えながら腕を組んで、睨むように下から見下すように目を細める。

＿＿＿そう、なにも知らなくて良い。
…知らなくて良いの。

______だが、奴は食い下がりやしなかった。

「いいえ、関係ないことありません。むしろ問題なのです！
プロでもあるサッカープレイヤーが、
１つの学園にあるサッカー部を襲っても良い、
なんてことは無いんですよ！」

『さっきまでは問いかけるかのように聞いていたのに、
もう私だって決めちゃうんだァ？』

「だって、貴方しかあり得ないじゃないですか、こんなことをするのは！」

一向的に火花を飛ばされ、
それを避けるかのように視線をそらした。

それに対してムッとしたのか、机を勢いよく叩いた。
それによって、お盆に乗っていた皿は私の膝に落ち、皿にこびりついていた汁は靴下に染み込んでいった。

床にカラカラと皿や箸が割れることなく落ちた音で我に返ったらしい真名部は、慌てていた。
あためく彼を見て、私は小さく口のなかで憎しみの音をならす。

『探偵ごっこは年齢考えなァ。
さもねぇと誰もお前を助けるのに躊躇すんだろーなァ』

そう吐き捨て、床に散らばった食器を拾い集め、
立ち上がってからお盆にまとめたものを返却口へ持っていった。