【イナギャラ】偽りメルシーpartⅢ (ページ4)

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第９３話ページ4

「久坂さんよ。昨日は俺の子分を可愛がってくれたそうじゃねェか。たっぷり礼はさせてもらうぜェ？」

その言葉に対して、キャプテンは否定しようとしたが、久坂はそれを制した。

【試合は止まってしまった！！これは前代未聞！私の実況人生でもはじめてだー！】

(いや、知るか。お前の実況人生なんかどうでもいいワ。)

船木コーチは焦りだし、青い少女もあためくが、監督はうごきやしない。

「どした？かかってこれねェのか？やっぱりオメェは噂通り弱っちいクソ野郎かぁ？」

そんな不良の挑発に乗ってしまった久坂の、相手に暴力をふるおうとしたその右手は。

「うわぁっ！」「天馬！！」

なんと、キャプテンの左頬へ突っ込んでいってしまったのだ。

『キャプテン！』【駄目】

その場から駆け出そうとしたその時、誰かに体を押さえられたような感覚がして、私はそこへ近づけなかった。

…この力はなんなんだったんだ？
どうして、痛みが消えたんだ。

なんて思っていると、気がつけば久坂は号泣し、不良どもをフィールドから追い出した。

そこには芝生に落ちたバンダナをキャプテンから受け取る、いつものやさしめな久坂がいた。