【イナギャラ】偽りメルシーpartⅢ (ページ22)

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第１１０話ページ22

場所が変わり、Aがいないお台場サッカーガーデンでは。

未経験者が揃いに揃って、サッカーに対する思いなどを言い合っていた。

その話題を野咲は森村に振りかけるも、相変わらず彼女は自分の意見を口に出さなかった。

それを気に止めた久坂の言葉を遮り、マネージャーの空野が次の対戦相手を発表しに来た。

タイ代表の"マッハタイガー"だという。

皆帆はそれによって番狂わせが起こるのに気づくも、真名部は先に知っていたらしく、得意気に吐き捨てた。

その言葉に反応した瞬木は、普段のように爽やかに何かを言う＿＿＿ことはなかった。

「まだ喧嘩してたのか…」

いつものような瞬木の声を聞いたらしい皆帆は、不思議に思って瞬木の方を振り返って見た。
だが彼が見たのは、普段のように"爽やかな青少年"の対応をする瞬木だった。

その中で、楽しげにしていた野咲は突然小さく声を漏らした。
その声に、その場にいた全員が反応し、彼女に視線が集まった。

「…Aはどこにいるの？ブラックルームのモニターにもあの子だけ姿がなかったわよ」

その発言に対して、その場にいる誰もが知らないと言った。空野でさえも知らないと言うのだ。

空野が灰崎の部屋を伺ってくると言い、その場を離れ、話は自然と灰崎のことになった。

しばらくして、焦ったようすのマネージャーが帰って来た。

「大変！Aさんがいない！」

その言葉と共に、入り口の自動ドアが開く。
そこには、涼しげな顔をして立っている淡い青色の少女＿＿＿灰崎Aがいた。