【イナギャラ】偽りメルシーpartⅡ (ページ49)

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第９０話ページ49

(そもそも、今回の大会が可笑しすぎるんだ。
世界大会のクセに、どの試合も日本でやってるところとか。…今回は日本主催だったか？)

「A！カバー頼む！」

…他を考えるのはよそう。今は勝つことだけ考えておけ！

『…"ブラッドハウンドv2"！』

相手の横をすり抜け先程のように手を広げれば、より鮮明となった紅い物質が、ボールを持っている相手を襲う。

そのままボールを奪うと、私は瞬木へとパスを出した。

見事繋ぐことができ、瞬木はノーマルシュートを打つも、止められてしまい、ボールは相手チームのキャプテンへ。

一方、私は度重なったダメージで地面にまたもや膝をついてしまう。

『…ッ、このくらいは…』
「A！！」

気付いたときには、周りが砂嵐で覆われてしまっていた。
強い向かい風に対抗する術もなく、ただ私は体ごと後ろへ飛ばされてしまう。

『あぁぁあぁっ！』

「灰崎！！」

頭が真っ白になった瞬間。
誰かの姿がうっすらと見えた。

長めの灰色の髪に、何を考えているのか悟らせないようにするためなのか、黒いサングラスをかけている背の高い男。

口元は、何か企んでいるのか、とても歪(いびつ)なほど上がっている。

その男は何も言わなかった。

『…私は、＿＿＿アンタとどこかで…！』

「灰崎！！」

ハッとしたときには、私の視界にはあの男はおらず、代わりに剣城が心配そうに見ていた。