【イナギャラ】偽りメルシーpartⅡ (ページ47)

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第８８話ページ47

『…どういうつもりなワケ？さっぱり意味不明なんですケド！』

(異論は認めない？…そんなの、逆に私が認めねェよ！)

後半開始を告げるホイッスルが鳴り響き、シャムシールのキックオフ。

私はそのまま攻め上がってくる相手のボールをすぐさま奪い、攻め上がっていく。

「女のクセに邪魔すんじゃねぇ！」

『残念ながら、とことん邪魔してやんよ！
…"ブラッドハウンド"！』

空へ向けた瞬間に湧き出た犬の形をした紅い物質は、相手を襲う。

『アハ…ッ♡ねぇ、もっと楽しませてよネ？
自信に満ち溢れた顔を歪めて地面に突っ伏しろよ！！』

＿＿止まらない。

＿＿止められない。

＿＿＿止めたくない！

心の底から沸き上がっていく何か。
それによって自分の頬が上がるのを感じた。

『"ドリップスター"』

高々と上へ打ち上げたボールを、オーバーヘッドキックでゴールに打ち込んだ。

それは、重々しくネットに突き刺さった。

得点板に向かって肩越しで首だけ振り返れば、でかでかと"１"が表示され、観客の歓声もよりいっそう大きくなる。

そっと目をつぶり、元のポジションへきびすを返して戻っていった。

…相手のやつらが怪しく笑っているのには、気づきやしないで。