【イナギャラ】偽りメルシーpartⅡ (ページ46)

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第８７話ページ46

久坂が解放された数日後。シャムシールとの試合の日がやって来た。

今回、私は隙を見て試合に出させてもらえるらしい。

『問題は、アイツが暴れなければいいんだが』

その呟きは、試合開始約５分後すぐに具現化してしまった。

瞬木からのパスを取り損ね、地面を滑る久坂に、相手は奴を見下して「弱い」と吐き捨てた。

その言葉に反応し、久坂は相手に暴力をふるってファールをくらってしまった。
…まるで、帝国とのエキシビションのときのように。

先ほど相手に先制点を許したばかりだっていうのに、このままじゃあ三回戦敗退…？それは嫌だっつーの。

そのまま、どうにかして攻め上がろうにもボールはすぐとられ、こちらは防御でいっぱいいっぱいだった。

ピーッ！

ただ抗うだけで前半が終わり、久坂はフィールドから出たあと、そのままどこかへ消えてしまった。

「…天馬、久坂を抜いたプレーにしよう」

久坂の後を追おうとしたキャプテンを呼び掛けた神童さんは、そう彼へ淡々と告げた。
それには他のメンバーも賛同なようだ。

だが、監督は。

「…野咲と変わって灰崎を入れる。異論は認めん」

久坂を下げようとはしなかった。