【イナギャラ】偽りメルシーpartⅡ (ページ36)

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第７７話ページ36

「…自らケンカ吹っ掛けにいくなんて、馬鹿ですか？」
『＿＿みのり』

「私が来ていなかったら貴方、この人にぶん殴られるところだったわよ？」

みのりはそう言いながら、私を解放すると久坂の方へ体を向けた。

「あなたも、気を付けることね」

次の瞬間、今度は右手首に違和感を感じた。
そちらに目を向ければ、みのりに掴まれているのだと解った。

『…みのり？』
「資料作成を続けましょう。私も手伝うわ」

＿＿だが、その言葉はただその場を離れる口実だったらしい。

それに気づいたのは、みのりに手を引かれ、連れていかれた先の食堂の前に来たときだった。

『えっと…みのり？資料の紙何だけど』

そう話しかけても、後はやっておくの一点張りを続ける気なのかいっこうに渡す気配がない。

しょうがない、と小さく溜め息を吐くと、彼女は肩の力を抜いた。
それを見計らって、彼女の腕にある紙に左手を伸ばしたが、それは空を横切っただけだった。

今度こそ私は降参の意を示すと、彼女は踵を返してどこかへ歩いていってしまった。