【イナギャラ】偽りメルシーpartⅡ (ページ20)

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第６１話ページ20

対ビックウェイブス戦。

韓国の時と同じように、やっぱりベンチスタートで試合を見守ることになった。

そのときとは違って、パスなども通じていたのだが。

でも、野咲は"自分が目立つ"プレーをし続ける。
まるで、個人競技を行っているようだ。

受けとるパスをわざとミスしたかのように見せたり、味方の失敗をカバーしたかのように見せたり。

…これは、酷すぎる。
同性のせいなのか、森村ばかり狙っているようにも見えて、少しだけ嫌気が彼女に刺した。

すっと空野の隣を立ち上がると、みのりの横を通りすぎて、監督の斜め前にたった。

『…監督』
「何だ、灰崎」

『森村と私を入れ替えてください』

普段意思がない限り動かない私に何かを感じたのか、監督は少しだけこちらを向くと、またフィールドに向きなおす。

「お前は兄そっくりだな」
『＿＿＿え？』

「周りには、自分のしたいことを隠すのか」
『…そうは言っても、貴方に気付かれているでしょう？』

そう答えると、監督は続きを話す気はないのか、直ぐ様右手を挙げる。

【おぉっとー！ここでイナズマジャパン、選手交替ー！森村に変わって灰崎が入る！！】

その実況と共に、観客はより大きな歓声をあげる。

交代するとき、森村に気を付けるよう言われ。
それに対して無言で頷くと、私はフィールドに足を踏みいれた。