【イナギャラ】偽りメルシーpartⅡ (ページ11)

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第５２話ページ11

「…天馬？」
『何言ってるのか理解したくないんですケド』

ジト目でキャプテンをみていると、今度はマネージャーが高めの声をあげる。

「やっぱりそう思う？私もそう感じてたの！
クールなところでしょ、サッカーうまいでしょ、お兄さん思いなところでしょ、あとは何か頼めば引き受けてくれるところとか！」

そう彼女が言うと、今度は瞬木が反応する。

「…何引き受けたの？」
『別にスペシャルなことじゃないカラ。
...はぁ、昨日昼飯一緒に行こう、って』

そういうと、マネージャーは身を乗り出すかのように鼻息を荒くして、「それだけじゃないよ！」と言う。

「みんなが練習に来ていたときには、ドリンクの箱を持っていってくれたり、お風呂入りにいくときには必ず呼びに来てくれるし、それからそれから」
「空野、そんくらいにしとけ。…灰崎が照れ始めてるぞ」

『剣城！…つか時間』

そう言うと、キャプテンはハッとして１人で部屋を飛び出した。
大方、試験を受けるつもりであるメンバーのところにでも行ったのだろう。

それをみて、彼の幼なじみは心配そうな顔を見せる。
少しの沈黙の後、今度は井吹が眉を潜め口を開いた。

「…どこいったんだ、アイツ」

そう呟いて、辺りを見渡した。
…あの人のことだろうか。

『神童さんなら先にフィールドにいると思うんですケド？』

そう答えると、マネージャーは思い詰めていた顔をあげると、

「天馬追いかけてくる！」

といって部屋を出ていく。
もちろん、私達も追いかけることにした。