問題児88 ページ43
侑(えっらい広い家やなぁ)
侑は内心びっくりしながらも、Aを背負い階段を上っていく。
Aが自然と指を指すためそれに従って進みながら、着いた扉を開けた。
正直侑は女子特有の感じの部屋を想像していた。
Aは特にこの見た目や性格も相まってその印象が強く、勝手に部屋に入るのを嫌だと思うくらい。
…でもその部屋は侑の想像とはかけ離れていて。
ぬいぐるみやら化粧品やらでごちゃごちゃしていると思っていたAの部屋は殺風景で…
白と黒を基本とした家具、机の上は片付いておりほとんど物は置いていない、そもそも物すら少ない。
必要最低限のものが置かれているだけのその部屋はやけに広く感じて部屋の前で立ち止まってしまった。
「…つい、た?」
侑「あ、あぁ…
感謝せぇや俺に」
「ふっ、うざ…」
いつも通り悪態をつくも力なく返ってくる返事にモヤッとしながらもAをベッドに下ろした。
Aは1人でもそもそと布団へ入る。
「…あり、がとぉな」
そっぽを向きながらお礼を言うAの耳は熱のせいか照れてるせいかは分からないが真っ赤で。
侑はそれを見て笑った。
侑「ふっ、別に。
城内は俺に貸しが出来たな」
程なくしてAは眠りにつく。
侑は部屋を見渡して、席を立った。
侑(ほんまになんも無い部屋やな…
冷えピタとか入っとるんやろか)
勝手に冷蔵庫を開けるのはしょうがないと思いながら1階へと降りて冷蔵庫を漁り冷えピタと飲み物を持ってAの部屋へと戻る。
Aの顔にかかる髪を退けてその額に冷えピタを貼った。
ぴくりとAが動き眉間に皺が寄るが少しすれば肩の力が抜けた。
侑はケータイで風邪、看病と調べサイトの情報を頼りに探す。
侑「いや、俺こいつ相手になにしとんねん」
ふと我に返り調べるのを辞めAを見る。
侑(家まで親切に送ってやったんやし、丁寧に冷えピタも貼ってやったんや。
もうええやろ。
これはトロ20貫奢ってもらわなあかんで、あほ)
心の中で文句を言いながら腰をあげた。
だが、それは弱々しく引っ張られるそれによって引き止められた。
Aが侑の袖を掴み離さない。
「いか、へんで…」
目が開いてる訳ではないから起きてはいないだろう。
か細く小さな声でAの口から発せられたその言葉に侑は動けなくなった。
Aの目から1粒の雫が頬を伝った。
1424人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
7℃(プロフ) - みんみんさん» いつもみんみんさんがコメントしてくれるのでまだ見てくれる方がいるんだと実感し頑張れます、ありがとうございます!そんなに沢山見てくださってるのならもっと更新頑張ります!!ありがとうございます!!好きです! (2020年12月27日 18時) (レス) id: edd2872306 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん - もう、この作品好きすぎて!!ほんとに!更新されて気になってバッて読んで、2回目にじっくり読むことが習慣になってます!これからも更新頑張って!!7℃様、だっっっいすきです! (2020年12月27日 10時) (レス) id: 6f58e756c0 (このIDを非表示/違反報告)
7℃(プロフ) - にゃーさん» こんにちわ!更新してます!特に土曜日は更新する暇あるので!! (2020年12月13日 14時) (レス) id: edd2872306 (このIDを非表示/違反報告)
にゃー - こんにちは!更新されてるぅぅ!やっぱり侑素直やないなぁ。 (2020年12月13日 13時) (レス) id: bb97bc99e2 (このIDを非表示/違反報告)
7℃(プロフ) - みんみんさん» やっと少し余裕が出来たのでたくさん書きます!疲れすぎて倒れないように気をつけてくださいねえええ! (2020年12月11日 13時) (レス) id: edd2872306 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:7℃ | 作成日時:2020年10月17日 19時