稲荷崎の問題児ちゃん2【ハイキュー】

問題児78 ページ33

朝ごはんを作り準備をして双子を起こしに行く。



｢入るでー｣



扉を叩いて声を掛けた後開けた。



｢耀おはようさん｣



耀は微笑んで頷く。


そして、小さな声でおはようと言った。


その頭を撫でて、双子を見れば起きる気配は無くて…



｢天音、愛音、朝やで｣


天音｢…おはよ｣



眠そうな顔で天音は起き上がるも、愛音はうーんと声を漏らすばかりで…



｢愛音…？｣



愛音の肩を優しく叩いて声をかければうっすらと目を開ける。



｢愛音…どしたん、具合悪いん？｣


愛音｢おねえちゃ…あたま痛い…｣


｢んー、辛いなぁ待っとってなぁ…｣



顔を歪めている愛音の頭を撫でて天音の準備を手伝う。



天音｢今日、愛音…一緒来やんの？｣


｢せやなぁ、お風邪引いてしもたみたいやな…

今日は天音ひとりで幼稚園行かなあかんなぁ…｣


天音｢いやや…愛音おらへんなら行かへん…｣



首を横に振って駄々をこねる天音にお願いと言えば渋々分かったと返事をしてくれた。



｢おおきに、えらいなぁ天音は｣


天音｢おん…｣



天音と耀にうつらぬように準備を急がせ早く部屋を出る。


リビングにいる結斗に事情を説明して耀を途中まで送って貰う事になり、Aは愛音の元へと戻った。


優しく声をかけ、熱を測れば体温計には38.0の数字。


思わずその数字を見てうなればAのパーカーの袖を握って来てAを見上げる。



愛音｢…お姉ちゃん、学校行かんで…

離れやんで、どこにも行かんで、置いてかんで…

今日だけでええから、したらまた我慢するから…行かんで｣


｢………行かんよどこにも。

ずっと一緒におるし、今日だけやなくていつも一緒におるよ｣



その言葉に安心したのか愛音は目を閉じる。


優しく手を離して、部屋を出る。


もうこの時間は学校に行っていて誰もいない。


Aの拳に力が入る。


(結斗だけやない、耀だけやない…

愛音にも無理させとる、我慢させとる。

きっと、天音にも我慢させとるんや…

どないしたらええん、なんでうちだけやないん？

お母さんの代わりにもお父さんの代わりにもなれん。

何をしてもうちはあの子達の姉でしかなくて、なにしようと親にはなれへん…)


その事実が悔しくて…苦しくて…


壁に寄りかかって少しずつ座り込んだそのAの頬には1粒の雫が流れて、地面へと落ちた。

問題児79→←問題児77

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す