稲荷崎の問題児ちゃん2【ハイキュー】

問題児71 ページ26

男｢治、ナイスやったで！！｣


女｢治くんほんまにかっこええよ！｣


女｢あの北先輩と一緒とか…最高やわ｣


男｢でも、侑の方にあの3年生の外国人の…｣


男｢尾白先輩やろ！？強そうやんな…

バレーもめっちゃ強いんやし、辛くね？｣



クラスの中は今朝のことで持ち切りでガヤガヤとしている。


もちろん、その中心人物である治を囲んでの話なのだが。


廊下側の治の場所で話しているというのに窓際のAの席まで聞こえてくるあたりかなり興奮しているのが分かる。


(喧しいな…

きゃんきゃんすんなら他行けや。

寝るに寝れへんやん)


ため息をついて外を眺める。


もう1ヶ月半後に体育祭が開かれる。


これからは体育祭に向けて話し合いも増えれば練習も増える…


競技によっては残るものもしばしば出てくるであろう。


この体育祭のルールは絶対に1つは競技に出なければいけないことだ。


常に体育は休んでいるAが皆と気持ちを合わせられるはずもなく不安しかない。


そして、この炎天下の中動きたいとも思わない。


日陰でひとり涼しく風に揺られながら青春風にのんびり学生生活を過ごしていきたい。


去年は体育祭を出なかった。


今よりもっと怖がられていた頃のAが近づくと皆がビクついて話にならないというのもあった。


特にあの頃は陸上を辞めたばかりで…何においてもやる気がなく、投げやりで自暴自棄に入っていた。


今年のクラスメイトはAに対してビクつく生徒は少なくて、たまに近くにいるとビックリされるがそこまで怯えられることは無い。


ただ、高校に入ってから走っているのは遅刻の時や何かあった時で…


競走する…ということをしていない。


授業も全般寝ているため体育はしばらくしていないし、体も動かしていない。


きっと鈍っているんだろうなぁと思いながら、梅雨明けの空を見上げた。


青く澄んだその空に吸い込まれるようにAはゆっくりと夢の中へ落ちていった。


一限は担任である一倉のHR授業のため教科書も要らない。


当てられることも無いため楽だと思っているが…


実際はかなり名前を呼ばれている。


気づかないのだ、眠りが深すぎるゆえに。


そんなAにとって、地獄である体育祭まで着々と進んで行く。


その授業Aは寝ていなければ…と後悔するのはもう少し後の事だった。

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