藤原千方を上回る力の持ち主

参 ページ4

モモSide

モモ 『窓のパーツをたして穴＋井』にしたの。

矢神くんのつま先の、すぐそこ。
ぽっかり大きな穴が開いてる。
フチまでのぞきこんでみたら、予想より、ずっと深い穴になったみたい。
真っ暗な底に、鬼がノビちゃってるのがかすかに見える。

匠 なるほど。鬼が踏みつけていた『窓を穽』にしたのか。

モモ うんっ。これでひとまず、悪さは出来ないよね。

匠 ああ。そのうち力を使い果たして消えるだろう。

矢神くんは近くに立てかけてあったトタン板の廃材を拾ってきて、落とし穴にフタ。
ぱんぱんっと手のホコリをはたき、立ち上がった。

匠 しかし、今日も朝イチバンマガツ鬼が出るとはな。

モモ 、、、、、うん。多すぎるよね。昨日もだもん。




匠 モモ。一度御筆を預かる。清めておいたほうがいい。

モモ ありがとう。お願いします。



かけ足で教室に戻ったら、もうほとんどクラスメイトはそろってる。
チャイムすんぜん、アブナイトコだったよっ。
黒板のところでチョークを持った朝子ちゃんが私に気付いてふりかえった。

朝子 お帰り、モモちゃん。大丈夫だった？

モモ うん、ただいまっ。
　 ああっ、そうだ！ごめんっ、私日直だった！

朝子 大丈夫よ。仕事はだいたいやっといたし、男子の日直にも、モモちゃんは保健室行ったみたいって、うまくごまかしといたから。あとコレだけ、掃除しといてくれる？そしたらおしまい。

モモ ありがとう、、、、！

モブ ねぇ、バレンタインのチョコ、どうする？やっぱ手作り？
モブ その方が、ちょっとでも目にとまりそうだよね。
モブ だねぇー。そいでさ、当日じゃ競争率高そうだから、早めに渡しちゃわない？
モブ いいねっ、印象に残るかも！矢神くん、きっと甘いのニガテだよね？甘さひかえめに作ろっかな。

すぐ後ろに聞こえてきた、女子の会話。
や、矢神くんに、バレンタインチョコ⁉
黒板消しを置こうとした手がイキオイあまって、大きくすべった！
すっぽーんと手から抜け出した黒板消しは、カラフルな粉をまき散らしながら、ナナメ上に飛んでいく！
窓にゲキトツして跳ね返ったソレは＿＿＿、

ぼふっ！

モモ ギャッ！

朝子 モ、モモちゃん⁉

モモ あ、あはは、、、っ、ゴホッ、手がすべっちゃった。ゲホッ。

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