3話 ページ4
そうして時間を潰して兄を待っていると15時45分になっていた。
兄が通っていると教えてもらった烏野高校からこの病院まで15分ほどなのでそろそろ来る頃かと思い、そわそわしているとガラッと扉が開く音がした。
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孝支side
病院に入り受付に行くと顔見知りの看護師さんに声をかけられる。
看護師「あら、菅原くん、こんにちは。今日も妹さんのお見舞い?」
菅原「そうです〜あ、ここに名前書けばいいですか?」
看護師「うん、そこでいいよ。あ、お見舞い行く前に、はいこれ。あげるわ」
そういうと看護師さんはポケットティッシュをくれた。
菅原「?ありがとうございます!それじゃ、行ってきます」
看護師「はい、いってらっしゃい」
歩き慣れた廊下を歩き、妹の病室に向かう。いつも病室のドアを開けるのは緊張する。
目が覚めない妹に会うのは正直心にくるものがあった。体のどこにも異常がない、傷も全部塞がっている、なのに、目覚めない。
このまま目覚めなかったどうしよう。
そんなことを考えて不安と焦りに押しつぶされそうになる。
それでも週に一回会いに行くのは目覚めているかもしれないと思っているからなのだろう。
菅原Aの表札が掛かったドアの前に立つ。
(大丈夫、大丈夫、)
すると、病室の中から物音が聞こえた。受付の看護師さんは中に人がいると先に教えてくれる。ということは、、
考えるまもなく扉に手をかけ、勢いよく開ける。
そこにはいつも寝ていた妹が、体を起こし、窓の外を見つめている姿があった。
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後ろを振り返ると、目に涙を溜めて今にも泣き出しそうな兄の姿があった。
「お兄ちゃ、わっ」
お兄ちゃん、と呼ぶ前に兄が私を抱きしめてきた。
菅原「お、俺、このままッ、Aが起きないんじゃないかと思って、起きてくれてありがとう、生きててくれてありがとう、、泣」
「お兄ちゃん、、ただいま。」
そういうと兄は、涙でぐしゃぐしゃになった顔でにっこり笑って
「おかえり!A!」
菅原「そういえばA、学校どうすんだ?」
「まだ迷ってる。やってたのは中学までの勉強だからこのまま病院で過ごそうかなと思ってる、」
菅原「それなら烏野くるべ!登校はちょっと大変かもだけど学校で何かあればすぐに助けられるし!」
「そっか、わかった、先生に聞いてみる、」
菅原「よしそれじゃ、俺部活行かなきゃだから帰るな。明日も来るから!」
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作者名:音羽 | 作成日時:2024年3月28日 12時