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「なぁ、ユウ…」
「ん?なーに?」
オンボロ寮に帰って夕食を摂り、風呂も済ませてあとは寝るだけというゆったりとした時間にグリムはゆっくり切りだした。
「ユウ、帰っちまうのか…?」
「…なんで?」
ユウは困惑したような笑顔を浮かべ、読んでいた本から顔を上げた。
「誤魔化さないでほしいんだゾ。あのアリアと、話してるの聞いたんだゾ」
「どこで聞いてたの?」
その返答自体がグリムの質問の答えだ、という事実から目を背けつつ事務的に事実を答える。
「オクタに向かう途中の道で、ユウを探しに行って」
「エーデュースも一緒かぁ」
「ユウ、帰っちまうのか?」
もう一度問いかけたグリムの目には嘘だと言って欲しいという欲がありありと浮かんでいて。
こくん。
ゆっくりと縦に振られた頭が、急に大切に見えた。
「…ッ、嫌…」
「グリム、」
「嫌、嫌なんだゾ…!俺様達は2人でひとつなんだゾ…!!ユウがいなくなったら…」
ナイトレイブンカレッジの日々も、ユウと過ごした日々も無くなってしまう。
「グリム、ごめんね…帰らなきゃ行けないの」
「嫌なんだゾ…嫌、嫌だ」
「……ごめんね」
困り顔で謝るユウにグリムは涙を流しながら駄々っ子のように首を振った。
「グリム、辞めておけ。ユウが困るだけだ」
すっと部屋に入ってきたのはエーデュースの2人だ。
「俺たちに止めることは出来ないよ、グリム」
「元々この世界の人間じゃないんだろう、ユウは」
「私には、帰らなきゃ行けないところがあるから」
2人の言葉に頷いてハッキリと言葉を並べる。
「だから…ごめんね…」
元々、ユウの帰り方が見つかるまでの期間の約束だった。
そんなこと、理解していた。
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徳川(プロフ) - ありがとうございます!名前の変更はこの話自体近々完結する予定なので出来るようにするつもりは無いです…すみません。続編的にフロイド多めに出す話も書こうかなって思ってるのでそちらは名前変更出来るようにします、そちらも読んでいただけると嬉しいです。 (2020年5月16日 12時) (レス) id: a86de972cd (このIDを非表示/違反報告)
リザ - はじめまして!リザと申し上げます!お話思わず全て読みました!とても良かったです!できれば、名前の変更ができるようになったら嬉しいですね! (2020年5月15日 20時) (レス) id: 957f187fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:徳川 | 作成日時:2020年5月2日 1時