嘘、偽りを貼り付けて

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1人、いつもよりも若干速歩きで自室へ戻ったAは部屋に入り扉が閉まるなり、ドサッとその場に倒れ込んだ

元気には見せていたが正直立っているのもやっとだった

普段熱はあまり出さないのに、熱が出てしまえばそれは必ずといっていいほど悪化してしまう

でも基礎体力は普通の子よりもあるはずだから、もはやこれはAの体質上仕方がないことなのだろう

「しんどい、なぁ」

そして熱を出した日は気分も滅入りいつもよりも繊細になる。

(消えたい…)

どうしょうもなく孤独に感じられて、でもどうすることもできなくて。

胸が締め付けられるように痛むのに、必死で耐え続けなければならないAの人生

そんな人生に一体どんな価値があるというのだろうか？

そんな人生に一体どんな価値を見い出せというとだろうか？

こんな人生夢見てたわけじゃないのに、気が付けば前後左右上下全てが真っ暗闇の中で自身を照らしてくれるものも周りを照らすものもない

進み方すら教わっていないのに進まなければいけない現実

「…もう、嫌だ」

無闇矢鱈にスマホを取り出して、untitledの再生ボタンをAは押した

ピカッと一面が光に覆われて、眩しすぎて周りが見えなくなり、次に目を開ければ、そこはもうAだけのセカイ

もうたったの1ミリも動く気力さえないから、Aその場で横になり目を瞑った

(もう何も考えたくない。頑張りたくない)

「大丈夫…？A…。」

最後にミクの声が聞こえた気がしたAは一瞬目を開けたものの、電池の切れた玩具のように眠りについた

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