55話 ページ9
どんなに願ったって叶わないのに願い続ける。自分で壊したくせに、それを分かっているのに僕はまだ必死にもがいている
「辛かったんよな、分かるで」
後ろから歩いてきた銀と侑はどこから僕たちの会話を聞いていたのか、僕に同情の視線を向けながら共感してきた
それはきっと侑の優しさなのだろう。分かっている。なのにこのときの僕はいつもとは違ったのだ
「…何がわかんだよ」
分かったふり、理解してるふりをされることが嫌いで。でも普段なら笑ってごまかせたのにそれができなかった
その言葉を口にしたあと、僕はハッとしたが時はすでに遅い。その場には気まずい空気が流れていた
「悪い、頭冷やしてくるわ」
行き場のない怒りを必死に隠すため、僕はその場を離れた
少しの間だけでも一人になり落ち着きたかった。周りの目を気にせず、頭と心を落ち着かせたかった
だが、頭の中にはたくさんの後悔が浮かんでくる。その後悔の中には先程言ってしまった言葉も含まれる
「なにやってんだよ…」
何をやってみても、頑張ってみてもまるでそれは無駄になる。今回だってそうで必死に隠してきたのにすべてが無駄になっていく感覚
(苦しいから。これ以上締め付けんなよ…)
苦しくて誰かに救ってほしい。僕には止められない
そう思う反面、誰にもバレたくないと思う。知られたらみんなが離れていくのはもう分かりきっているんだから
そんなことを思う臆病な自分をいつか引き剥がすことができればいいのに、なんて叶わないことを一人バカみたいに考えた
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香恋(プロフ) - Uさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです!時々よくわからない表現が出てくるかもしれませんが今後ともぜひこの小説を楽しんで読んでもらえたら嬉しいです! (2022年10月24日 22時) (レス) id: fa5d44cc5a (このIDを非表示/違反報告)
U - 主くんの消えてしまいそうでありながらも逃げることができないという状況そのものや、心理描写が儚すぎて思わずコメントしてしまいました…!この作品ほど続きや終わりが気になるものに出会えたのは初めてです!素敵な作品を作ってくださりありがとうございます!!! (2022年10月24日 20時) (レス) id: 84c1c08764 (このIDを非表示/違反報告)
香恋(プロフ) - ウリンさん» ありがとうございます!そう言ってもらえて凄く嬉しいです!!ほぼ毎日更新できるように頑張ります! (2022年10月2日 22時) (レス) @page28 id: fa5d44cc5a (このIDを非表示/違反報告)
ウリン(プロフ) - さっ最高です…香恋さんの書く心情描写がリアル過ぎて物語に簡単に入り込めます…応援してます!更新ありがとうございます! (2022年10月2日 21時) (レス) id: 34bb7b30de (このIDを非表示/違反報告)
香恋(プロフ) - さーさん» コメントありがとうございます、そう言ってもらえてとても嬉しいです!!できる限り毎日更新できるように頑張るりますね (2022年9月17日 16時) (レス) id: fa5d44cc5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:歌恋 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/suikahqd/
作成日時:2022年9月8日 23時