75話 ページ29
「それで?何があったのさ、急に」
「えっと、」
そう言って僕はこの間のファミレスでのことをできるだけ正確に及川さんに話した
「ふーん、じゃもう頼れば?」
「いや、でも」
帰ってきた返事は思っていたよりも適当で、一瞬話す相手を間違えたかもしれないと思った
「ほーんと中学の時から変なとこ責任感あるよね、無責任なとこは凄く無責任なのにさ」
「まあそれがいいとこでもあるけどさ」なんて付け加えたがなんのカバーにもなっていない。まあ、カバーしようとも思ってないだろうけど
「Aがわからないなら誰にもわからないんじゃない?」
その通りだ、僕がわからないことを他人がわかるはずがない。だけど、楽になりたいという気持ちはあってどうすればいいのかがわからない
「必死に探すしかないんじゃない?周りの人にも協力してもらってさ」
でも、詳しいことが何もわからないのにどうやって探せばいいのかすらわからない
「本当に何もわからないの?家族に対してとか家族の形とか、周りの家族とかでなにか思うことは?」
そう言われると、先程まではなにもないと思っていたのに頭に浮かんできた
「…あります」
「ならそこから考えればいいんじゃないの?」
最初は少し間違えたかもなんて思ったけど、やはりこの人に話してよかったと思えた
「Aくんはもっと自分の思ったこととか言うようにすること!気持ちとか、ちゃんと口にしないと伝わらないんだから」
それは言われなくてもわかってることで、だからこそ言わないようにしていたことでもあった
「はい」
まだ、クラスメイトとかには無理かもしれない。気持ちを口にするとか怖いけど、でも侑たちになら言える気がした
「やれやれ、本当に昔から手がかかる子だよ」
「ありがとうございました」とお礼を言ったらそんなことを言われて、何となくだけとそう言ってる及川さんの顔が浮かんだ
「ずっと不思議だったんですけど。半年くらいしか関わってないのになんでそんな親切にしてくれるんですか?」
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香恋(プロフ) - Uさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです!時々よくわからない表現が出てくるかもしれませんが今後ともぜひこの小説を楽しんで読んでもらえたら嬉しいです! (2022年10月24日 22時) (レス) id: fa5d44cc5a (このIDを非表示/違反報告)
U - 主くんの消えてしまいそうでありながらも逃げることができないという状況そのものや、心理描写が儚すぎて思わずコメントしてしまいました…!この作品ほど続きや終わりが気になるものに出会えたのは初めてです!素敵な作品を作ってくださりありがとうございます!!! (2022年10月24日 20時) (レス) id: 84c1c08764 (このIDを非表示/違反報告)
香恋(プロフ) - ウリンさん» ありがとうございます!そう言ってもらえて凄く嬉しいです!!ほぼ毎日更新できるように頑張ります! (2022年10月2日 22時) (レス) @page28 id: fa5d44cc5a (このIDを非表示/違反報告)
ウリン(プロフ) - さっ最高です…香恋さんの書く心情描写がリアル過ぎて物語に簡単に入り込めます…応援してます!更新ありがとうございます! (2022年10月2日 21時) (レス) id: 34bb7b30de (このIDを非表示/違反報告)
香恋(プロフ) - さーさん» コメントありがとうございます、そう言ってもらえてとても嬉しいです!!できる限り毎日更新できるように頑張るりますね (2022年9月17日 16時) (レス) id: fa5d44cc5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:歌恋 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/suikahqd/
作成日時:2022年9月8日 23時