失敗人生

2話 ページ5

バレーは別に好きじゃないけど、嫌いでもない。

昔からやってきたから、辞められないで今もこうしてそこそこの強豪でバレーを続けている

そして僕はたまに思う。なんのために僕は今もバレーを続けているんだろうって

「サーブくらいミスんなや！」

「あれれ、ボールちょっと低かったかな」

ほら、またミスして。一体これで何回目？

得意なサーブはお父さんに怒られながら教わったもので、この場にいられてるのはお父さんのおかげなのかもしれない。

そう思うとなんだか自分が嫌になる。あの教え方は間違ってなかったって僕自身で証明してるように感じるから

「ちゃんと決めろや！」

「自分やってすぐミスるやろが！」

アランくんが僕を庇うように侑に言うが侑は聞く耳を持たない。でも別に構わない

「サーブの打ち方、そろそろ変えよっかな」

僕はサーブで点を取るたびにあの時のことを思い出す。トラウマのようなもの。僕にこびりついていつまでも取れないから気持ちが悪い。だから打ち方を変えて、強制的にでも消し去りたい

「今のままでも充分決まっとるやんか」

「インハイ予選近いんや！変える前に完璧に仕上げろや！」

銀と侑に言われて僕は「んー、やっぱそうだよね」と笑って誤魔化した

何を言われたって本心なんて見せない。だって望まれてるのは本心の僕じゃなくて、偽りの僕だから

偽りすぎて心は痛いけど。それを見て見ぬふりをしてまた心が痛むけど

1人になりたくないし、嫌われたくないからまた僕は偽る

3話→←1話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す