失敗人生

37話 ページ40

「元気だなぁAは」

言ってる意味がわからなかった。ただ声を張り上げ怒鳴ったことを言ってるんだと思った

「そっちもね」

だから僕はそう返した。本当は、「そっちもね、年甲斐にもなく元気なことで良かったよ」と言いたかったがまだ僕にも良心は残っているようで頭には浮かんだものの口には出さずに堪えた

「そうだぞ？静かなのはお前だけだ。家でずっと黙って」

「そりゃ無駄な喧嘩は避けたいからね」

僕の返事に「喧嘩かぁ！？」なんて返すものだからそれ以外ないだろうと心の中で反論する。これが説教ならば笑ってしまう

「他にこんなに言い合ったこと他にあるか！」

「あるけど」

どうやら祖母は忘れているようだが僕は鮮明に覚えている。いつ、なぜ言い合ったのかを

そのあとも何度か小言に反論し、最後に祖母が嫌味らしき言葉を言った

それを最後に車内には沈黙が続く

怒鳴り合うくらいならこのくらい静かでいい。だから家では黙ってる。それに、「家では黙って」なんて言ったけど、学校でも家でも演じるなんて疲れる。スマホと一緒で充電する時間が僕にだって必要なんだ

車が家につくと、「どうも」と言うか「ありがとう」というか迷ったが後者を選んだ

「Aは素直なんだから」

その言葉は他の言葉同様弾くことはできずかと言って胸にすっと入ることもなく引っかかった

「いやだから、ゆってる意味がわからなくて聞き返したのに怒られた意味がわかないって言ってんの」

それを無視して言い返す

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