失敗人生

15話 ページ18

ああ。苦しい

誰か助けて。

心の底でもう1人の僕がそう叫んでいる。幼い、昔の僕が

でも僕はそんな自分を見て見ぬふりをしてやり過ごす。この痛みも意識しなきゃなんて事ない

この喉を締付ける痛みは一体いつになったら消えるのか。いつになったら慣れるのか

心の奥底でもがき足掻いてるもう1人の僕を僕は必死に奥底から這い上がって来れないようにする

上がってきたら、今の僕が崩れてしまうと分かるから

どんなに助けを叫んだって誰も気が付きやしない。だってその叫びは声にならないんだから

でもそれでいいと思う

声に出して助けを求めてもきっと無視されて終わりだ。誰も本当の僕なんて望まないんだから

「何ぼーっとしてるの？」

僕が長々と考え事をしていたらいつの間にか１限目の英語が終わっていたらしい

「いや、暇だったからぼーっとしてた」

角名はいつも僕のことを気にかけてくれている気がする

というか、変化によく気がつく。ポジション的に相手のことをよく見てるからというのが関係してるのかもしれない

「角名って好きな人いるー？」

特に話すことも無くて適当に話しを振る

「いないけど。え、もしかして、そういうこと？」

1人何かを考えて「まじか」なんてなまった標準語で言う角名に俺は適当に笑った

別に好きな人が出来たわけじゃない。角名の勘違いだ

でも訂正するのも面倒だし、考え事をしていてもそういう事だと勝手に勘違いしてくれるだろう

その方が僕にとって都合が良かった

16話→←14話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す