好き嫌い ページ16
どこまでも上を求められ続けて過剰に両親からの期待を一身に受け続けたAは、もうとうの昔に限界を迎えていたのかもしれない。
「やっと東京やなぁ」
新幹線で移動してそこからさらに練習場所へと足を運ぶ
今まで1人を除いてはバレーに対して好きという感情がないことがバレることはなかった
だからバレーが好きではないと見抜いたその相手はAにとって唯一の本音を話せる相手で、天敵のように思っている
「ねーねーキミキミ!Aくんだっけ?キミさー、バレー好きじゃないんでしょ!」
そう、全国大会で毎度会う天童覚は突如話しかけてきたかと思えばAの本音を見事に見破ったのだ
恐ろしく感じて、ゾッとして。
嘘をつく理由なんてどこにもない上、嘘をついても透かされてしまいそうなその瞳にAは正直に好きじゃないと答えた
愉快そうに笑う彼がAは不愉快だった
「それがどないしたん?好きでも嫌いでも上手ければ問題ないやろ」
「んー?別に何もないヨ!ただ見てて思ったから言っただけー」
じゃねー、と呑気にその場をあとにする彼をAはじっと見つめて露骨なほどに眉をひそめていた
チームメイトも親も誰も知らない自分だけの秘密をいきなり現れた天童は全て見透かした
それがAは理由もなく嫌だった
「なんなん、アイツ」
その言葉に反応する人は誰もいなかった
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作者名:歌恋 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/suikahqd/
作成日時:2023年4月27日 7時