星が輝いていた (ページ12)

今日:22 hit、昨日:1 hit、合計:13,878 hit

秘密の2 ページ12

昔、かなり昔の夕方頃だっただろうか？

両親の怒鳴り声が階段を降りているAの耳にまで届いてきた

普段はおおらかで喧嘩してる姿なんて見たことがなかったAは、驚いて大急ぎで階段を駆け降りようとした

だが、途中で聞こえた怒鳴り声を聞けば喧嘩の原因はA自身であることに気がついたのだ

「Aが世界に名を馳せるの！そうじゃなきゃあなたと結婚した意味もないわ！」

「当たり前だ！あの子が夢半ばで挫折するようなことがあれば離婚だ！」

その先も続く言葉はAにも聞こえるのに内容が頭に入ってこなかった

好きでもないバレーだが両親が優しく褒めて教えてくれるから続けてるだけだった

仲良い家族だと思っていたのに蓋を開けてみれば政略結婚のようにお互いの利害関係のみでの結婚、そして生まれたA

幼いAには細かいことなんて分からなかったが、唯一理解できたのはバレーで誰よりも強く、上手くならなければいけないということ

そしてこの秘密は周りに知られてはいけないと、両親がしているように外面良く何も知らない、ただバレーが大好きな子供を演じなければならないと察した

それが自身の家族を守る最後で最高の手段だから

そのために毎日ランニングや1人で直上パスなどを行った。

そしてAの心は徐々にすり減って、本人も気が付かないうちに何処かにポカリと穴が空いてしまったようだ