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気がつけば、家にいて。
ソウルを出たのは夕方だったのに、家に着く頃には空にお月様がのぼっていた。
どうやって帰ってきたのか…ほとんど覚えていない。
お医者様に言われた言葉…
《後遺症は…残ると思いますが》
《手術で取り除くしか、方法はありません》
手術とか、病気とか。
そんなの、自分には無縁の世界だと思っていた。
未だに半信半疑な部分もあるけど、
「っ…、ぃたっ………」
襲ってくる頭痛に、それは夢ではないのだと思い知らされる。
手術…か。
手術自体は、別に怖いわけではない。
ただ、
《記憶力に影響が出るのは、ほぼ間違いないかと》
お医者様が言ったその言葉が引っかかる。
それって…
ママ《Aちゃん♪ 今日もありがとう♪》
リヨン《A〜! ご飯行こっ♪》
大切な人達のことも…忘れちゃうってことなの?
走馬灯のように、頭の中を大好きな人達の笑顔がよぎる。
スンリ《Aヌナって、韓国語上手だね!》
ジヨン《おかえり、A》
やだ……やだよ。
みんなのこと…忘れちゃうなんて。
「ジヨ……会いたい…っ…」
涙しながら呟いた自分の独り言に、ハッとした。
ジヨンに…会いたい。
こんな時、1番に思いつくのは彼の人の顔で。
やっぱりわたしは、彼のことが大好きで…
忘れることなんて出来ないんだと、胸の奥底にしまっていた気持ちに気付かされた。
真っ暗な部屋に1人でいると、余計に孤独を感じるから。
早く朝になってほしい…陽の光を浴びたい。
そう思っていたのに、こんな時に限って夜は長かった。
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ÑoëL(プロフ) - 雪ノ宮深音さん» ハッ!外すの忘れてました(;;)ありがとうございます! (2017年12月9日 21時) (レス) id: 148b97988e (このIDを非表示/違反報告)
雪ノ宮深音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年12月9日 19時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ÑoëL | 作成日時:2017年12月9日 4時