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翌朝。
「うわぁ…懐かし」
お医者様とママに言われた通り、ソウル峨山病院へやって来た。
来る途中、とても懐かしい景色に思わず漏れた独り言。
受付を済ませて診察の順番を待つ間、待合室にあるテレビをぼーっと眺めていた。
番組の途中で流れたCMには、無邪気に笑うジヨンが映っていて。
その笑顔に…胸が締め付けられた。
この2年…貴方はどうやって過ごして来たのかな。
私のことは…もう忘れたよね。
そんなことを考えていると、名前を呼ばれて席を立つ。
「こんにちは」
診察室に入ると、笑顔が素敵な若い男性のお医者様に出迎えられた。
「紹介状はお預かりしてます。一度、CT検査をしましょう」
そう言われて、検査台の上に横たわった。
「ではリラックスして、肩の力を抜いてくださいね」
検査はあっという間に終わり、今は結果を待っているところ。
原因がわかるといいんだけど…
その時のわたしは、その程度にしか考えていなかった。
再び名前を呼ばれ、診察室に入ると、少し険しい顔をしたお医者様がいた。
「お待たせ致しました。検査結果が出ましたので報告させていただきます。こちらをご覧ください」
そう言ってわたしの前に1枚のCT写真を差し出した。
「これはAさんの頭をスキャンした画像です。ここ……白い影が映っていますね。これはおそらく…脳腫瘍だと思われます」
「脳……腫瘍?」
お医者様に先ほどまでの笑顔はなく、苦しそうにわたしにそう説明した。
「もっと精密な検査をしないと、この腫瘍が良性なのか悪性なのかはわかりません。しかし、頭痛や吐き気、目眩などはおそらくこの腫瘍が引き起こしているものだと思われます。かなり肥大化しているため、薬での治療は難しいです。手術で取り除くことも出来ますが、腫瘍が脳の中心に近い場所にあり、非常にリスクの高い手術になります」
「そう…ですか」
しゅ……じゅつ?
脳の…中心?
あまりのショックと、非現実的なその言葉たちに
わたしはただ相槌を打つことで精一杯だった。
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ÑoëL(プロフ) - 雪ノ宮深音さん» ハッ!外すの忘れてました(;;)ありがとうございます! (2017年12月9日 21時) (レス) id: 148b97988e (このIDを非表示/違反報告)
雪ノ宮深音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年12月9日 19時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ÑoëL | 作成日時:2017年12月9日 4時