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暗いステージが映り、その後パッと明るくなって、そこには綺麗な衣装を着ている5人の姿。
静かに流れ出す、ピアノのイントロ。
− 波のように砕かれた 俺の心
風のように揺れる 俺の心 −
画面の中で歌うジヨンさんは、何より綺麗で、儚くて。
昨日見たジヨンさんの横顔と重なった。
− 君なしでは1日も 過ごしていけないと思っていた俺
想像とは裏腹に、それなりにやっていけてる −
……
何…この感じ。
− 君の横にいるそいつが、もしかして君を泣かしているんじゃないか、
俺の事はもう すっかり忘れたのか 気がかりで −
わたし、なんで……
− 振り返らずに行けよ
もう俺の事は 思い出さずに生きていって
君を愛していたよ 後悔はないから
幸せだった思い出だけ 持って行って −
『A…?』
なんで…なんで、なんで。
「ジヨン……」
初めて聴いた、この曲。
聞き覚えも、見覚えもないはずなのに。
どうして……こんなに泣けてきちゃうのかな?
どうして……思い出しちゃったのかな。
走馬灯のように今までの記憶が蘇ってきて、頭が追いつかなかった。
『…A?大丈夫?』
何故か泣いているわたしを、心配そうに覗き込むジヨン。
「ジヨン…この曲、とっても素敵だね」
涙をいっぱい溜めた目で笑うから、また涙が溢れて。
『A、もしかして…』
「ごめん。訳も話さず、勝手に居なくなったりして……」
そう、これが1番、言いたかった事なんだ。
今ジヨンがどう思っていても、あの日傷つけたのは事実で。
それをどうしても謝りたかった。
『A…っ!会いたかった…っ』
また急に抱きしめられて。
でも今度は戸惑いとかもなくて、ただ幸せだと思ったのは、今でもまだジヨンのことが好きだから。
「ごめんね。心配かけて…」
『本当だよ、バカ……このまま一生思い出さないかと思った…』
少し声が震えているジヨン。
『今の曲、まさかAと一緒に聴くことになるとは思わなかったな…』
わたしからそっと離れて、頭を撫でて言う。
「え?どういうこと?」
『最初に番組で言ってただろ?自分の経験を基に書いたって……』
そこまで言って急に言葉を詰まらせるから、何が何だかよく分からなかった。
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ÑoëL(プロフ) - 雪ノ宮深音さん» ハッ!外すの忘れてました(;;)ありがとうございます! (2017年12月9日 21時) (レス) id: 148b97988e (このIDを非表示/違反報告)
雪ノ宮深音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年12月9日 19時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ÑoëL | 作成日時:2017年12月9日 4時