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まばゆい光を感じて強く目を閉じた。
そっと目を開くと、目の前にはすごく綺麗な顔の男の人。
貴方は…誰?
わたしの左手を強く握っていて、わたしを心配そうに覗き込んで。
『っ……A…!』
わたしの名前を呼ぶ彼の声。
ああ、この人だったんだ。
わたしを闇の中でずっと呼んでくれて、闇から救ってくれたのは。
「…?」
よく状況がわからず、黙ってしまうわたしに
『ちょ、ちょっと待って、先生呼んでくるから』
そう、早口に言って出て行った彼。
ここって…病院?
なんで病院にいるんだっけ…?
ダメだ…全然思い出せない。
うーん、と1人で頭を抱えていると、先ほどの男性と、白衣を着た男性が部屋に入ってきて。
医者「Aさん、わかりますか?」
そう、わたしに声をかけた。
「あの…ここは…」
医者「ここは病院です。Aさんは、脳の病気で手術をしたんですよ。手術をしてから1ヶ月…ずっと眠り続けていました」
「1ヶ月…?」
手術?病気?1ヶ月?
情報量が多すぎて、頭がついていかなかった。
医者「Aさん…ご自分のお名前はわかりますか?」
「え、えぇ…」
医者「それでは…こちらの男性の名前は?」
そう言って、お医者様が指した先には、さっきまでわたしの手を握っていた男性の姿。
何だろう…名前はわからないけれど、ずっと一緒に居たような…見たことがあるような。
でも。
「ごめんなさい…」
名前がどうしても思い出せなかった。
医者「そうですか…Aさんの場合は、自分のお名前以外は全て…忘れてしまっているようです」
そう、お医者様は男性に告げていた。
その男性は、なぜかいまにも泣きそうな顔をしていて。
わたしをただずっと、真っ直ぐ見つめていた。
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ÑoëL(プロフ) - 雪ノ宮深音さん» ハッ!外すの忘れてました(;;)ありがとうございます! (2017年12月9日 21時) (レス) id: 148b97988e (このIDを非表示/違反報告)
雪ノ宮深音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年12月9日 19時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ÑoëL | 作成日時:2017年12月9日 4時