61. side GD ページ17
焦っている。
今の心境はまさしくこの一言に尽きる。
早く終わらせて、病院に行きたいのに
こんな時に限って長引く撮影。
ヨ「なかなか終わらないね…早く解放して欲しいのに」
『今日ばっかりは本当…勘弁して欲しいよ』
もういいだろ?何枚俺らの写真撮るんだよ。
そう思いながら、そんな素振りは一切見せず、カメラに向かってポーズを決める。
やっとOKが出たのは、夕方になってからで。
『なぁ、この後はもう予定ないだろ?』
そうマネージャーに確認を取ると
マネ「ん?あぁ…今日はもうこれで終わりだけど」
期待通りの言葉が返って来て、速攻で着替えて車に乗り込んだ。
Aに、会えるかもしれない。
そんな淡い期待を胸に、車を走らせて20分程。
病院に着き、受付に行って聞いてみた。
「あぁ、Aさんなら今入院中で。明日手術なんです」
受付の看護師からはそんな言葉が返って来て。
ちょっと…待って。手術ってなに。どういうこと…
そう混乱していると、
「明日の11時から手術なので、もう面会禁止になってて…」
明日の…11時。
『あの、手術って…』
俺が言わんとすることを察したのか、彼女は続けた。
「脳腫瘍で。明日それを取り除く手術をするんです。脳の中心に近い場所にあるので、少し難しい手術だとは思いますが…」
そこまで言って、語尾を濁らせた。
脳腫瘍……?
手術…?
そこまで聞いてやっと、ヨンベの言葉を思い出した。
ヨ《Aちゃんすごく体調悪そうだったって…》
体調が悪いって…そのレベルじゃねぇだろ、これ。
「あの…大丈夫ですか?」
頭が真っ白になってフリーズしてる俺を、目の前の看護師は怪訝そうに見つめている。
『あ、すみません…ありがとうございました』
とりあえずここに入院してることは分かったけど…
明日の朝から手術って…何だよそれ。
しかも、もう会えないなんて。
目の前にいるのに、手が届かないもどかしさ。
『はぁ〜……どうすりゃいいんだよ』
車に戻って、ボソッと呟きハンドルに突っ伏した。
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ÑoëL(プロフ) - 雪ノ宮深音さん» ハッ!外すの忘れてました(;;)ありがとうございます! (2017年12月9日 21時) (レス) id: 148b97988e (このIDを非表示/違反報告)
雪ノ宮深音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年12月9日 19時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ÑoëL | 作成日時:2017年12月9日 4時