溺レル (ページ10)

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その後腕の中からするりと抜け出し
まじまじと顔を見ると慎さんは
悲しい表情を浮かべていた

｢ごめんなさい、昨日慎さん達が居ない間
色々あって…｣

｢もういいよ、これ以上言わなくて(笑)
大体予想ついてるから｣

先程まで悲しい表情をしていたのとは
打って変わって笑顔で上記の言葉を
返してくれる

けれど、私にはその笑顔が作りものにしか
見えなくて心配になって後先考えず
言葉を発してしまう

本当にデリカシーのない女だって
自分でも思うわ(笑)

.

｢慎さんどうかしました？私で良ければ
話くらい聞きますよ。｣

｢別に何もないよ、けど今日の夜
仕事終わったら電話してもいい？｣

｢…明日午後からなので大丈夫です｣

｢じゃあ決まりー｣

少し抵抗があったけど番号を交換して
その序にLINEの連絡先も交換した

"…それじゃ、また後でねA。"そう言って
慎さんは元来た方向に向かって走って行く

平然を装ってはみたものの動揺を隠し切れない
……だって

｢よ、よよ、呼び捨て…｣

恥ずかしさのあまり顔が熱を持ち
赤くなっているのが自分でもわかった

.

それから家に帰ってやる事を済ませて
ソファの上でスマホを弄る

なんとなくLINEを開いてなんとなく慎さんの
アカウントをタップし、アイコンを見たり
ホーム画像を見たりしていると

壱馬さんとのツーショットが使われていて
仲が良いんだなぁと改めて思い知らされる。

…

そしてアカウントの画面を閉じようとした
その時、手が滑り間違えて通話ボタンを
押してしまった

そのまま当然ながら通話画面に切り替わり
慌てて終了のボタンを押そうとするが

＿＿＿＿＿00:01...00:02...00:03..

.

｢もしもーし、未だ仕事中なんだけど
待ちきれなかった？(笑)｣

｢ま、間違え電話です！！仕事頑張って
ください！｣

＿＿＿＿＿ツーツーツー

無理矢理電話を切って衝動的に近くにあった
クッションを手に取り顔を埋めとりあえず叫んだ

その後'絶対慎さん怒ってるよ…'と呟き
ため息を吐きつつスマホを片手に
寝室へと足を運び

ライトを最小にしてからベッドに横たわり
暫く本を読み時間を潰していると
部屋に鳴り響く着信音

それが鳴ったのは0時を過ぎてすぐの事だった