溺レル (ページ9)

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＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

…

それから少し経って、色付け前の下絵を描いたり
華やかな絵柄を付け加えたりして夢中になりながら
作業を進めていると時刻は14時を過ぎていて
休憩時間が迫っていた

.

ひと段落ついた所で休憩室へと向かい
自販機で飲み物を購入していると
またもや姿を現した

＿＿＿＿＿＿ツンデレ星人佐野

｢また会いましたね、俺たち赤い糸で
結ばれてるんじゃないっすか？(笑)｣

｢今すぐその赤い糸ぶった斬る……
序に佐野の首も…｣

｢怖ぇ～Aさんの前世って
もしかして悪魔？｣

｢……ゴメン、天使｣

.

とふざけた言い争いをしながら
休憩時間を佐野と楽しく過ごし

その後は再度作業に取り掛かり
定時を過ぎ少し残業をしてから退社した

…

そして此処からが地獄

帰る途中に必ず通らなければいけない
あのお店

それに近づく度に

"誰もいませんように
誰もいませんように
誰もいませんように" と呪文を唱えるように
連呼しながら恐る恐る前を通る＿＿

.

｢……ギリセーフ、危ない危ない｣

.

ルンルンしながら魅を通り過ぎると
顔は見えなかったけど二つの人影は見えて

気づかれないよう通り過ぎたと思っていたはずの
自分にこの後嫌気をさすことになるとは…

.

｢あ、Aちゃん！！｣

｢え、どこどこ？！｣

反射的に呼ばれた方に振り向いてしまうも
それを無かったことにして聞こえないフリを
しつつ全速力で逃げる

.

逃げるけれど男性の脚力に女の私が
勝る訳もなく…

.

＿＿＿＿なんで逃げるんですか

そう言って私を引き留めそのまま自分の方へと
抱き寄せ離れぬようにと背中に腕を廻す

ホストさんに抱き締められているのは
分かるけれど顔が埋まっている状態のため
そのホストさんの顔がよく見えない
でもどこかで聞いた事がある声で……

.

少し腕の力が弱まった時を見計らって
相手の顔を見るとその声の持ち主は

.

紛れもない慎さんだった＿＿＿,