溺レル (ページ4)

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SIDE YOU

壱馬さんと慎さんに腕を引かれながら
店内に入ると内装は黒一色で
統一されていて、天井の中央には
この店を象徴するかのように
大きなシャンデリアが飾られていた

それを見て圧倒されていると

…

｢二人共、随分と早い御帰りだね。
…まさかたった2分で帰って来るとは
誰も思ってもみなかったよ…ね～～？｣

ああ、この人が二人に買い出しを
頼んだのか～なんて呑気に考えていると

周りに居るホストさん達が
動揺しながら首が取れるんじゃないか
ってくらいコクコクと頷いた

二人は空気を読んだのか、ため息を吐きつつ
声を合わせて"…行ってきます"と言い扉に向かって
歩き出し体は前へ向けたまま私の方に手を振りながら

｢Aちゃん、俺らが居ない間
襲われないよう気を付けてね～｣

｢用心せんと何されるかわからんからな(笑)｣

…

そう言いながら店から出て行った

てか何ちゃっかり楓まで連れて行ってるの！？

｢はあ、一人にさせないでよ…｣

.

……ん？待って、慎さんに名前言ったっけ？
と不思議に思い考えようとするもそんな時間はなく

.

ある一人の男性がじっと私を見つめながら
近づいて来るためそれを凝視していると

その男性とはまた違う人に後ろから肩を叩かれ
振り向きざまに頬にリップ音を立てるよう
触れるだけの口付けをされた

そしてそのまま耳許に顔を近づけ

｢初めまして。翔吾です、いきなりだけどさ

…

俺、Aちゃんみたいな女の子めっちゃタイプ｣

と囁き近くのソファに翔吾さんは腰掛けた

一方私は口をぽかーんと開けたまま頭上に
クエスチョンマークを浮かべこの数分で起こった
出来事を思い出そうと思考が停止した脳を
フル稼働させていた