溺レル (ページ13)

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タクシーに乗り揺られること10分
やっとの思いで魅へと着いた

閉店時間まで残りわずかというところで
店の前へ立つと慣れていないせいか
まだ少し緊張する

一度大きく深呼吸をして、扉をゆっくりと
押し中に入ると以前来た場所とは思えないほど
女性客で溢れその凄ましさに圧巻された

閉店時間が迫っているにも関わらず
店内を見渡していると時折悲鳴が聞こえてきたり
ずっとそこに居たら頭が痛くなるくらい
大きな音響の中踊り狂う女性がいたりと、
自分がこの場所に居たら違う意味で狂って
しまいそうになる

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暫く扉の前に居てみたは良いものの肝心な
慎さんが見当たらないのと同時に居心地の悪い
この空間に嫌気がさし、一度外に出ることにした

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手摺に手をかけ扉を押して店内から出て
外の空気を吸い"また今度で良いか～"なんて
言っていると後ろの扉が回りだし
邪魔になるだろうと思い扉の前から避けようと
すると、そのまま腕を引かれ店内へ逆戻り

｢え、なに？え、え？｣

急に起こった出来事にあたふたしていると
腕を引っ張ってきた張本人から声を掛けられた

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｢前、店来てたよね？確か名前は…
Aちゃん？｣

｢来てました…はい、そうですけど｣

｢で、今日まこっちゃんに会いに来たカンジね。
多分今接客中だから俺の部屋来る？｣

｢いえ、名前も知らない人の部屋には
ちょっと…｣

｢あーそっか、名前言うの忘れてた。

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ホクトです。北に人って書いて北人。
よろしくね？｣

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そう言って返答していないのに私の腕を
強引に引いて部屋へと導いていく北人さんを
他所に女性客の横を通り過ぎていく

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人混みを避けながら部屋に向かうと
またもや聞こえてくる悲鳴

前にある彼の肩を叩いて
'北人さん人気なんですね'と言うも
北人さんにはその言葉が届いていないようで
大きな声でまた上記を述べると

次は聞こえたのかニコッと笑みを零して
'まあね'なんて言うからつられて私も
笑ってしまう

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そんなこんなで人混みをかき分け
部屋の前に着くとドアを開けてくれて

｢ホクトルームへようこそ～！(笑)｣

と自分で自分の言葉に北人さんは笑いつつ
一礼すると中に入らせてくれた