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この世に未練なんかほとんど無かったし、あの親に縛られて生きるくらいならってずっと考えてた。
でも、いっちゃんとみっちゃんがそんな親から助けてくれた。
なのに私はまだどこかであの親に縛られてて、働かないと捨てられるものだと思ってた。
それを隠して頑張ってみたけど、
…いっちゃんは私のことずっと分かっていたみたいに。
私も抱きしめ返して、ふと目の前にあったいっちゃんの髪の毛にそっと触れる。
｢…懐かしい…｣
心の中が、少しだけ暖かくなる感覚。
ガチャッ
｢一織！
…えーっと、お邪魔しました…？｣
｢ちょっと！！七瀬さんなにか勘違いしてませんか？！｣
｢…ふ、あははっ！｣
｢…Aさん？｣
｢ごめ…いっちゃんが慌てるの見て面白くて…｣
｢あなたがすぐ爆弾抱え込むせいですよ！｣
｢えっ！A爆弾持ってるの？！｣
｢そういう意味じゃありません！｣
さっきまでの憂鬱や、怖かったのが嘘みたいに泡みたいに消えていった。
人間いつか死ぬのに辛くなるの、痛い、悲しい、苦しい。
すべての感情が理解出来なかった、邪魔だった。
おかしいじゃないかって。
でも、そんなマイナスな感情の他にこうやってどこか愛しい感情もあって。
人間って面倒くさい。
だけど…
まだ、生きていてもいいんじゃないかなって。
｢いっちゃん、ありがとう！
流石パーフェクト高校生だね、私の悩みバカバカしくなっちゃった！｣
｢あ、なんだ
悩み相談してたなら言えよ一織！｣
｢あなたが勝手に勘違いしたんでしょう？！｣
｢じゃあ私部屋戻るね！｣
｢あっ、お疲れ様です。｣
｢おやすみー！｣
部屋に戻るとどこか楽な感じだった。
…もう少しだけ、生きて。
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作者名：稜樹彩葉 | 作成日時：2017年11月2日 8時
