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憧-1- ページ21

「っ!」


目が覚めた瞬間思い切り上半身を起き上がらせた。

そのせいで目眩を起こしたのは言うまでもないだろう。


…さっきの闇が未だに怖い。

あの闇に呑まれて今目を覚まさなかったらそのままあの闇をさ迷わないといけない…?

そんな考えにいたり力強く腕を掴んでカタカタと震わせ心臓のドクン…ドクン…という音が耳に響いていた。


「んー…どうしたの…?
熱のせいで怖い夢でも見た?」

「…七瀬、さん
なんでベッドに突っ伏して寝ているんですか!?
風邪ひいちゃいますし気管支にもわるっ…けほっ、ゴホゴホッ」

「大丈夫?!ゆっくり吸って…吐いてー…」

「っ…はー…」


ちょっとむせただけで咳がとまらなくなりそうだった。

…焦った。


「顔色悪いよ…?」

「七瀬さんが床に座って寝ていたからです。」

「俺のせい?」


そういってカクンッと首を傾げるりっくん。
可愛すぎて叫びたくて仕方が無いけど流石に引かれかねないので心を平常に保ちつつ言葉を口へ。


「…9.9割は私のせいで残りの0.1は七瀬さんのせいです」

「なんでAのせいなの?」

「怖い夢を見たのは僕だから」

「あ、そうだ!怖い夢見たなら一緒に寝てあげるよ!」

「…え?」


添い寝久しぶりー!と楽しそうに僕の横に潜り込んでくるりっくん。


「あ、あのっ!七瀬さん本気ですか?!」

「本気だよ!心配だしっ!」

「あ、ほら熱ありますし風邪かもしれません!移っちゃうかも…!」

「ほらほら、熱上がっちゃうよ!」


りっくんが、抱きしめてくれるのに。
なんでだろうこの不安でなんとも言えない気持ちは…


「Aあったかーい!」

「あの、僕あんまりひとに抱きつかれるとかそういう経験がなくてえっとなんか変な気持ちで…!」

「変なって?」

「えっと…えーっと…」

「大丈夫!俺がずっとついててあげるから!」


嬉しい。
だけど、僕は…


「おやすみ、A!」

「っ…おやすみ、なさい」


触れられるのが、笑うのが、優しくされるのが
怖いんだ

フースーと寝息を立て始めた彼の腕からそっと逃れてリビングのソファの方に向かうと大和さんがお酒を飲んでいた。


「おー、熱下がったか?」

「…わかんないです。」

「いい子は寝てなきゃだめだろ。」

「…僕は、いいこじゃありません。」


いい子は自分で死なない。
いい子は優しさを怖がらないし否定しない。

…僕は全然いい子になれない。


「お前さん、考えすぎだよ。」

「え…」

「ほら、横座れよ」

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作者名:稜樹彩葉 | 作成日時:2018年2月1日 7時

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