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幻 -1- ページ20

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「…ここ、どこ」


花畑みたいな所で、僕は立っていた。

こんな所に立った記憶なんてないけどここは夢だろう。


「やぁ!元気?」

「…いーや、死んだ。」


後ろから声が聞こえたから振り向くと、全く知らない人がこっちに近づいてきていた。

そして僕は、この声を知っている。

不思議なことを言っていたやつの1人だ。


「お姉様と君のこと助けたいなぁって思って君の好きな所に飛ばしてあげたんだけど、どう?」

「心臓爆発しそうです。」

「いやー、こっちも見てて面白いよ!
急に異世界飛ばして身体が慣れるまで時間はかかると思うけどあと数日で慣れるはずだからさっ!」


にっと笑った顔はどこかで見覚えがある。

急に吹いた強い風で目の前の女の髪が強くなびく。
花は飛んですごく幻想的なんだけど、笑っていた女の顔は少し寂しそうにしていた。


「…まぁ、せっかくお姉様と僕が与えた奇跡だ。
楽しめよ。

なぁ、薬神A

いや…七条Aか。」


その間違えはわざとなのか。
少なくても真剣な表情は僕が僕の名前を捨てたということを自覚させるのは十分だと思う。


「…今の君は全体的に酷く脆い。
鉱物で言うならそうだな、Cinnabar(シンシャ)だろう。」

「シ…ンシャ…?」

「赤い鉱物の事さ。モース硬度は2から2.5。
今の君はまだ心も体もボロボロなんだ。」


ツンッと僕の胸に指を当てた。


「身体はそのうちお姉様と僕でそれなりに強く出来るからダイヤモンドにはなれるだろうね。
でも君の心は長い間引っ掻き回されて滑石…モース硬度1程度になっている。」

「意味わからない、さっきは2.5とか言ってたのに1とか矛盾してるんじゃないの。」

「…それに君は気づいていないだろうけどさ。」


まるで、心を見透かされてるみたいで怖くなった。


________パァンッ!!


「…モース硬度とか、ダイヤモンドとか難しい言葉ばかり並べないで。」


思いっきり僕の胸にあった指を叩く。
それでも目の前の女は笑っている。

それも、どこか恐怖を感じるような顔で。


「ははっ!ごめんごめん。
君は勉強しないと何もわからないもんね。」


「っ…!
煽るために僕を生かしてるの?!」


「…どうだろうね。
とりあえず彼らが心配してるし意識は戻してあげる。

またおいで。」


「僕はまだ聞きたいこと!!」


必死に手を伸ばしたのに、それは無駄だった。
黒い闇に飲み込まれてそのうち女は見えなくなって僕の視界も真っ黒になった。

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作者名:稜樹彩葉 | 作成日時:2018年2月1日 7時

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